任意売却最新情報

横浜保土ヶ谷区T様「認知症の方の任意売却は時間との勝負」

今回ご紹介するお客様は横浜市の事例です。

横浜市にお住まいのT様は40歳代の男性で物件には一人で住んでおりました。いい任売.jpとの出会いは弊社が裁判所の情報を元に訪問していた先の1件で、お会いできた時には競売になってからすでに2ヵ月程経過している状況で、弊社でお力になれる事を説明するとT様より「任意売却をしたいという事でご依頼を頂くことになりました。

T様ご所有の自宅は昭和築の古い物件でもう一人所有者(共有者)として母親がいるとのことでしたが、現在は病気を患い入院中で認知症も発症し寝たきりの状態とのこと。その他に色々とお話を聞くと解決しなければならない大きな問題が2つ判明しました。まず1つめに所有者である母親が認知症で、法定後見制度を利用し後見人を選任しなければ任意売却ができないという事と、2つめに競売という時間制限の問題です。今回のT様の案件はこの2つの問題に苦しまされることとなります。

後見人の選任は手続きをすればいいのですが、裁判所に申請する必要があり選任されるまで時間がかかります。その間も競売は進んでいくため、競売を止めなくてはいけません。幸運にも母親が認知症になった時期より競売の申立された時期が後だった為、裁判所に上申したところ、判断能力又は認識する能力がない状態で競売が開始した且つ競売開始の書類が本人の手元に送達されていないかったという事で一旦競売が停止される事になりました。一方、後見人の手続きの為に必要書類として認知症の診断書を入院している病院に請求しますが、作成完了目安の3週間を経過しても作成されません。時間に余裕がありませんので病院に問合せしますが、歯切れの悪い回答。早く作成するよう求めますが、病院側の回答は母親の入院費の未払いがあり支払いをしなければ診断書を作成しないとの事です。T様は母親の年金の収入を使いこみ入院費を滞納しておりました。これについてはT様に非がありますが、今現在T様にお金の余裕はありません。その現状を打破するために任意売却を決断し活動をしている訳で、診断書がなければ後見人の選任申立ができず、自宅も競売となりより生活の建て直しは困難となってしまいます。病院に直接出向き話をすることにより、どうにか診断書を作成して頂けましたが、その書類に不備があると裁判所から再提出を求められるなど当初の予定よりかなりの時間を要する事となってしまいました。そして一旦、停止していた競売は診断書の作成を待っている最中に、競売進行の為に必要な手続きが終わったとして進行を再開してしまいます。裁判所に現状を報告し再度競売を停止してもらえないか掛け合いましたが、法律上進行できるようになったので停止できないと言われてしまい後は時間との勝負です。

ようやく後見人の選任が終わり任意売却に進めると思ったら、後見人より財産管理の観点から相続放棄をして所有権をT様に全て譲渡しなければならないとのこと。元々時間に余裕がないにも関わらず、また手続きを迫られます。後見人に急いでもらい相続放棄の手続きを終え、これで完全に任意売却に進めると思いましたが、また問題が発生します。債権者は任意売却に応じる為には相続放棄した事を登記簿に反映させなければならない、さらには競売のタイムリミットも間近で登記完了を待っていては準備が間に合わない為、現時点で任意売却は間に合わないとし受付を終了すると回答。確かに全く時間に余裕はありませんが、今回の債権者とは何度も取引をした事がありさらには同様に時間がない案件も債権者の協力のもと成約させてきたので、任意売却の受付を終了すると言われても納得ができません。担当者に登記完了してなくても法律上任意売却は問題ない事や、仮に登記完了を待ったとしてもどうにか競売までに任意売却が間に合う可能性があると話をしますが債権者は本部の決定なのでこれ以上は無理と言われます。それでも納得はできないのでしつこく食い下がった結果、上席の方から連絡あり、改めて経緯と事情を説明し今回の任意売却のメリットと手続きが間に合う可能性を伝えた結果、スケジュール通りに進むことを条件に任意売却の応諾とそれに向けた協力をする事を約束して頂くことができました。但し一つでもスケジュールが遅れた場合はその時点で競売が確定するとのこと。一日一日が勝負の毎日で気が休まる日はありませんでしたが、すべての手続きが完了し正式に任意売却の許可がおり無事決済を終えることができました。

今回の売買代金から引越費用の捻出ができたので費用負担もなくT様は心機一転をはかることができ生活の建て直しを頑張っております。

今回の事例はとにかく特殊な事例ではありますが、現在の高齢化社会では所有者の方が認知症というのは決して珍しい事ではありません。競売という時間制限と戦いながら間に合ったからこうして事例を紹介できていますが、これが間に合わなかったらT様は人生の建て直しは困難なものになっていたことは明らかでこれまでの事例では例をみないほど苦労した案件ですが無事終えることができて良かったと思います。