S様の場合、業績不振による収入の激減に伴い住宅ローンの支払いが困難になり、弊社HPを見ていただき問い合わせてくださいました。
ご相談の内容としては、自営業で自己破産はできない。出来るだけ高く売って、残債を減らしたい!と言う内容でした。
債権の内容を確認すると、3番抵当まであり、1番抵当は全額、3番抵当は判子代、2番抵当が返済額相談の要のように見受けられました。
いざ任意売却として市場に出してみると、思ったよりも反響は少なく、内見客の予定が入りません。販売に関して1番抵当権者と、2番抵当権者の考え方が真っ向から対立してしまいました。値段を下げてでも早期売却を望む1番と、時間をかけてでも1円でも高く販売したい2番が双方譲らないのです。所有者は少しでも高く売って返済したいので2番よりですが、時間切れになり競売に移行してしまっては元も子もありません。1番は競売にすると言い出し、2番は価格を下げない。さてどうしたものかと頭を抱える毎日でした。
そんな中、内覧して気に入っていただけた一般のお客様が現れました。千載一遇のチャンスは言いすぎですが、そのくらい期待して契約の準備に入りました。しかし、世の中そうは甘くなく、融資の事前審査で否決されてしまいました。何行か申し込みましたが通るところはございませんでした。振り出しに戻ってしまい、再度購入客の探索に時間を費やすことになりました。そんな中、ふと以前情報提供した買取業者のことを思い出しました。早速データを検索し、購入可能金額を確認したところ、もう少しの歩み寄りで取引ができそうであることがわかりました。担当に連絡を取り購入を検討いただくために一緒に建物を見ていただくことにしました。実際にご覧いただき、当初より60万円買い上げていただきました。早々に各債権者に連絡を取り契約の段取りと思いきや、2番抵当権者から応諾するにはもう30万円足りないと回答がありました。当然、買主様は上限の数字をご提示いただいています。相談するもやはり買上は難しい。万策尽きたと思われましたが、上席より弊社が報酬としていただく手数料で調整できないかとの指摘を受けました。買主からの手数料で調整し、取引価格を債権者の希望に合わせることができました。
結果的には、価格が上がることで、所有者の希望通りより多く返済することができ、債権者には十分なメリットがありました。買主としては、諸費用を含めた総価格は変えることなく取引ができ、弊社としては、競売に移行することなく取引を完了させることができ所有者のお手伝いができたと喜んでおります。
全体を通してみれば、誰かが苦汁を飲むことなく、話し合いの中で一番良い方法を見出すことができたのではないかと感じております。話し合いの最中は些か感情的になるときもありましたが、それでも「話せば分かる」人と人なのだからと再確認しました。これからも話したくても上手く話せない、何を話せば分からないと悩んでいる方の力になれればと思いました。