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茨城S様「コロナの影響を受け収入の激減が引き金」

北茨城市にお住いのS様は弊社のHPをご覧いただきお問い合わせいただきました。お問い合わせいただいた時には既に税金の滞納分に関し役所から給与の差押えをされており、他複数のカード会社からの借り入れに対する返済も滞っておりました。元々ご所有の土地は相続で取得し、建物は自身で建てられたそうです。セキスイハイムの注文建築で軽量鉄骨造の比較的丈夫な建物です。恵まれた環境ではありましたが、やはりコロナの影響を受け収入の激減が引き金になってしまいました。S様は自身で設備関係の仕事をしていましたが、受注が減ったり、建材部材の仕入ができなかったりと状況は悪くなる一方でした。今後の住宅ローンの支払いもできなくなるためどうしたら良いかという相談でした。

そんなS様の希望はオーナーチェンジで、継続して住み続けたいとご家族全員の願いでした。S様は仕事の都合上、道具や材料のストックが多くそれらを保管しておく場所を完備している賃貸は少なく、車も3台ありましたので引越は難しいとのことでした。

S様のご希望を叶えるべく販売活動を開始しましたが、まずは物件査定の時点で躓きがありました。査定の参考として地元の業者を含め、買取業者に買取価格の算出を依頼しましたが、需要のないエリアであり、保有はしたくないなどの理由からことごとく買取できないと断られてしまいました。そのような反応から察するに、先々の販売は苦戦を強いられることが予測できました。そのため、債権者の応諾価格をかなり低い金額まで落としていただけるよう話をまとめる必要がありました。

まだ債権が銀行にある段階でしたが念のため確認をすると、S様の場合先の震災の際に一度リスケを行っているため、未払いが3回続くと期限の利益喪失ということになるという情報を知りえることができました。住宅ローンの場合一般的には6回の滞納で期限の利益喪失となるため、3回ということは早期売却が可能ということになります。ところが、予定通り3回の滞納で期限の利益は喪失となり代位弁済を待つことになりましたが、待てど暮らせど代位弁済は行われませんでした。担当者に理由を確認しても理由はわからなかったため、保証会社に直接確認したところ、S様の抵当権設定の際に、お父様に連帯保証人を依頼していたが他界されているため、相続人を確定させ保証人の引継ぎの手続きを行わなければならないとのことでした。債権者からは6か月分の未払い金を払えば連帯保証人を解除すると言われましたが、月の支払いも滞っている状況でそれはできませんでした。相続人はS様を含めて兄弟3人でしたが、保証人の引継ぎも含め遺産分割協議を行い、本物件の取引にかかわる長女とS様が相続することとなりました。そうしているうちに7か月が過ぎようやく代位弁済となりました。

その後、取引に関して保証会社と打合せを重ねていきましたが、先方は全額回収を求めてきており実勢価格との開きを埋めることができませんでした。債権者の希望する価格でお客様を見つけるべく販売を継続しましたがやはり購入希望者は現れません。当該物件には敷地内に父親が生前自作した鉄骨造の未登記建物(倉庫)があり、取引に際して登記をするか解体をしなければなりません。ある特定の事業者でなければ倉庫は必要なく、解体撤去するにせよ相当の費用がかかります。ましてや需要のないエリアのため地元の仲介販社からの問い合わせもないまま時間を費やしていきました。このように販売に苦戦するであろうことは予測できていたため水面下で買取業者の探索を行い、債権者の応諾が取れ次第取引ができるよう準備だけは進めていました。

S様には状況を説明し、債権者の見解が厳しくオーナーチェンジは難しいかもしれないことを説明し、お引越しする可能性も同時に検討していただくことをご理解いただきました。

販売活動を継続し、債権者への状況報告を重ねた結果、買取業者の希望する価格まで取引価格を下げていただくことができました。買取業者は弊社の関連会社なりますが、取引内容を説明し引越費用の捻出も快く了承していただくことができました。話がまとまってからは段取りよく売買契約を取り交わす準備を進めることができました。

ところが、いざ売買契約を取り交わしS様の引越し先を探してみたところ、希望する条件の賃貸物件は簡単には見つかりませんでした。そこで、弊社のネットワークを生かし何とか物件を見つけてもらうよう地元業者に協力を仰ぎ情報を提供してもらいました。その結果、築年数は少し経っていましたが、手入れが良く、庭先が広いため車を5台ほど止められるスペースがあり、日当たりのよい貸家を見つけることができました。しかし、問題はそれだけではありませんでした。必要のなくなった残置物の処分をしなければなりませんでしたが、生前、父親が残していった倉庫の荷物や資材などリサイクルが難しいものなどが多く残っており、全体で見ても尋常な量ではありませんでした。物件近くの産廃業者に見積もりを依頼したところ、もうすぐ3桁の大台に乗りそうな金額の提示がありました。あらゆる産廃業者にあたりましたが、最終的には通常弊社が依頼している都内の業者にお願いしたところ、交通費、出張費を含めても前者の半額程度と一番安価で作業していただけることとなりました。七転八倒しながらなんとか予算内に収めることができ、S様も無事に引越しを完了させることができ、新しい生活を始めることができました。S様は、当初のままであれば間違いなく競売になっており、先行きが不安であったであろうことを考えると、オーナーチェンジをしなくとも、必要なものを限定し整理できたことは、心機一転再出発するうえでもよかったことだったと思います。そのお手伝いができたことに充足を感じる取引でした。