任意売却事例

東京都足立区T様『事業承継後に判明した担保債務・多重差押 強制競売案件を任意売却で収束させたケース』

本件は、会社名義および個人名義で計3件の不動産を所有するお客様の事例です。

お客様は、仕出し弁当の製造・配達業を営む会社を、前社長から事業承継する形で引き継ぎました。
しかし、承継後に 会社名義の不動産を担保として、前社長が多額の借入を行っていた事実 が判明。
前社長はそのまま行方をくらまし、債務のみが会社側に残るという、極めて悪質な承継トラブルでした。


■ コロナ禍による追い打ちと債務の肥大化

それでもご夫婦で事業を立て直そうと努力を重ねていましたが、
2020年の新型コロナウイルス流行により休業を余儀なくされ、売上は大幅に減少。

事業再開後も回復は見込めず、

  • 会社名義不動産に設定された抵当権債務

  • 会社名義の税金滞納

  • 個人名義の税金

  • 住宅ローン

といった 会社・個人を跨いだ債務が複合的に膨張 していきました。

最終的に、会社名義不動産に対し強制競売が申し立てられた ことをきっかけに、弊社へご相談をいただきました。


■ 初期調査:競売は「無剰余取消」だが問題は先にある

抵当権残債・差押内容・不動産評価を精査した結果、
今回の競売は 無剰余取消となる可能性が極めて高い案件 でした。

この点をお伝えしたところ、お客様は一時的に安堵されましたが、
実務的には、

  • 今回の競売が取消になっても

  • 抵当権者が再度競売を申し立てる可能性が常にある

  • 約1億円近くにまで膨らんだ債務は私的整理では限界

という、根本的な解決には至らない状態 でした。

そのため弊社からは、
法的手続きを前提とした整理が不可欠 であることを明確にお伝えしました。


■ 弁護士連携による全体設計と並行対応

本件は単なる不動産売却では解決できない案件であるため、
弊社提携弁護士と早期に連携し、

  • 会社・個人双方の法的整理の方向性

  • 任意売却と破産手続きの関係

  • 不動産処分の優先順位

を整理したうえで、全体の出口戦略を設計

同時に、

  • 任意売却に向けた販売活動

  • 各債権者との条件交渉

を並行して進めていきました。


■ 物件特性と販売上の大きな障壁

本物件は立地自体は悪くなく、販売開始後は一定の反響がありました。

しかし、

  • 土壌汚染の懸念

  • 建物状態の悪化

  • 抵当権1本+差押9本

  • 銀行による担保評価が出ない

という致命的な要因が重なり、
金融機関融資が使えず、購入検討が頓挫するケースが続出しました。

また、すべての債務を賄える金額で検討可能な買主は存在せず
販売は長期化を余儀なくされました。


■ 債権者との直接交渉を重ね、条件を調整

弊社では、

  • 定期的な販売状況報告

  • 物件の実情を踏まえた説明

  • 債権者への直接訪問による折衝

を何度も重ね、現実的な回収ラインへ条件を調整。

結果として、全債権者の同意を取りまとめ、任意売却を成立 させることができました。


■ 結果と担当者所感

本件は、

  • 事業承継トラブル

  • 多重差押

  • 強制競売

  • 法的整理前提

という、任意売却業務の中でも極めて難易度の高い案件 でした。

正直、ここに書ききれないほどの課題がありましたが、
本案件を完遂できたことは、担当者にとっても大きな成長につながる経験となりました。

お客様も、
「どれだけ働いても債務が増えるだけだった状況」
から解放され、廃業に向けた準備が進むにつれて表情が明るくなり、
最終的には
「10キロくらい太ってしまいました」
と笑顔で話されていた姿が印象的でした。


■ 同様の問題でお悩みの方へ

  • 事業承継後に想定外の債務が判明した

  • 会社と個人の債務が混在している

  • 多数の差押や競売が絡んでいる

  • 他社で「任意売却は無理」と言われた

このようなケースこそ、専門業者の介入が不可欠 です。

当社では、
任意売却 × 法的整理 × 事業整理 を一体として捉え、
再スタートまで見据えたサポートを行っています。

ぜひ一度、ご相談ください。
無料相談にて、現状整理から対応可能です。

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