任意売却最新情報

川越市M様「任意売却で劣悪環境の改善に貢献」

事の発端は自宅のローンの滞りからでした。父親所有の土地に建物を注文建築し、その建物の建築費として地元の金融機関から借り入れを起しました。しかし、仕事の業績不振から支払いが滞りがちになり、他アルバイトをしながらも何とか支払いは継続してきましたが、結果として半年近く滞納してしまい差押されてしまう恐れが発生しました。既に父親は他界しており、相続が発生している為このままでは、実家や父親が所有していた他財産も差押の対象になる恐れがありました。

その財産の一部に駅徒歩3分の借家がありました。全8棟の平屋で、未だに汲み取り方式の汚水処理であり、衛生面でも維持していく事は難しくなりつつある物件でした。賃貸の管理をするにも母親が高齢の為、家賃回収のほか現地まで足を運び管理していく事が年々難しくなってきていました。

8棟のうち6棟に賃借人がおり、5組が長期賃貸借契約となるため立退き交渉も難航するのではと予想しました。

その1部屋は猫を30匹以上飼っており糞尿の処理もせず放置状態でした。当然、飼い主はそこには住んでおらず、猫屋敷となり近隣からの苦情も絶えない状況で、賃借人に言っても改善はされませんでした。

しかも、放置車両が3台有り、その撤去も出来ない状況です。

他にも、道路に車を放置したまま行方が分からなくなってしまい対応のしようがない住戸や、鍵がかかったままの大きな物置や、倉庫代わりに使っていたワンボックスカーが置き去りになっているなど、一般の方が購入したとしても対応できる状況ではありませんでした。対象物件の敷地もそれなりにまとまっていた為、業者の買取でなければ方法がないのではないかと方向性を絞っていきました。

債権者には、実家はともかく、自宅のほかに相続財産がある事は告げず、任意売却で少しでも高く販売し完済できるように客をつけると話し、ほかの財産を探られないように最善の注意を払いました。

早々に売買の準備に入り、所有者の父親、母親のかかわりのある税理士や司法書士とも綿密に連絡を取り、できるだけ必要経費を抑えられるように話し合いを重ねました。

まずは、所有者の自宅の売買契約を関連会社と取り交わし、不足分を補填する為に駅前の収益物件も同時に売却する契約をしました。自宅の残金決済を1ヶ月以内に行い残債を返済して差押の心配から開放され、オーナーチェンジとして家賃を払いながら継続して住み続けることができました。

そのほかに所有者は借り入れの返済時期が来ているものがあり、いくらか立て替えることになりました。

駅前の借家の物件も、随時立退き交渉を進めながら、引越先を一緒に探し各々引越しを完了させることが出来ました。

特に猫屋敷の賃借人に関しては、30数匹を許容してもらえる賃貸住宅は当然あるわけもなく、数を減らすために里親に出すなどの提案をしましたが、全部連れて行かなければ納得しないと最後まで引越先が決まりませんでした。最終的には、関連会社で猫用の安い住宅を購入し受け入れ態勢を作っていただきました。そこに賃貸していただくことにしましたが、いざ、猫の引越しの際には半分以上逃げられてしまったということと、猫だけではなく本人も一緒に住むには建物が古すぎるとの理由からキャンセルになってしまいました。

結局、何の為に購入したのかその目的を失ってしまいましたが、最善を尽くした結果であり、再度販売して必要な方に買っていただければよいと寛容な対応をしていただきました。

また、取引対象地の敷地の大きさを確定させる為に確定測量を行わなければならず、隣地の方と連絡を取り境界の立会い日時の調整や押印手配など早期に取引が完結できるように業務を進めました。

更には、関連会社が早期売却を図るべく、いくつもの買取業者に話をしたところ、地元の有力建売業者が購入の意思表示をしてきました。物件は道路を挟んで2区画あり、道路の北側が2棟現場になる予定の土地で、開発許可を要しない為、建築確認申請の許可が出次第の残金決済となりました。道路を挟んで反対の南側の区画は多棟現場になる為、開発許可が取得できた後の残金決済と定めました。

しかし、最終的には開発行為にならないような販売方法を考え、原価を抑えることが出来たようです。南側の区画も無事に残金決済を終了させることができ、自宅から始まった売買に関する一連の業務が完結いたしました。

貸家に住んでいた賃借人たちも、その実、引越しをしたくても先立つものがなかったり、きっかけがなかったりで、なかなか移り住むことが出来ないでいたようです。汲み取りではなく、隙間風の入り込まない新居での新しい生活に喜んでくださいました。

所有者及びお母様はこの取引で余剰が出て生活費に当てることができました。また、お母様にいたっては賃貸管理のわずらわしさや近隣からの苦情が一掃され晴れ晴れされたようです。

買い取っていただいた建売業者もまた、販売早々にまだ建物も立っていない状況で既にお客様の購入申込があったと幸先の良いスタートが切れたと喜んでいました。

業務の内容、仕事量としては通常の任意売却で行うものの何倍にもなりましたが、かかわった方々が皆それぞれ納得していただき、喜んでいただけことに仕事の成功と充実感を感じます。