横浜市保土ヶ谷区にお住いのY様は予てより関連会社に融資の相談に足を運ばれていました。本人は所有の区分所有建物を、ローンを組んで購入し賃貸に出して収益物件として運営していました。賃借人は非常にまじめな方で賃料の滞納はなく、お客様の質としては大変優良な方でした。しかし、仕事が傾き、他からお借り入れも増えていき、毎月入ってくる家賃も最終的には自身で使ってしまいローン返済まで回らなくなり、滞納回数が6回になってしまいました。気が付けば債権者から競売の申し立てをすると連絡が入り、切羽詰まった状況で関連会社に何とか融資をしてもらえないかという相談に至ったそうです。しかし、所有物件は賃借人が占有しており、融資をするにも一般的な不動産としての担保評価が出ませんでした。そこで、任意売却という方法を活用しました。他でも入用であった所有者は、関連会社から不動産を担保として提供し数百万円の借り入れを起こし急場をしのいでいただき、売却の際に返済するという方向で同意し契約が成立しました。所有者もこのまま時間が過ぎれば賃借人に迷惑をかけるということで話を進め一安心となります。
そこで問題なのは、販売に伴い賃借人の方に事情を説明して快く引っ越していただけるかということです。賃貸管理している不動産業者を訪ね状況を説明し、直接話をさせていただくよう取り持っていただきました。話は理解していただきましたが、現実問題として次に住むところや引越し代はどうするのかという問題が出てきます。そのこともあらかじめ予測しておき、転居にかかる大体の引越し費用を提示させていただきご理解いただきました。販売しながらではありましたが、お引越しの準備も徐々に進めていただくことができました。
それと同時に、債権者に対して購入希望者がいると伝え競売移行への話を止めていただくよう連絡をしました。全額返済ができる可能性を伝え、何とかもう少し待ってくださいとお願いをしたところ、残金決済日を早めに決めるように言われました。また、条件として査定書の提出を求められましたが、賃借人がいるため添付する写真を撮ることができません。写真なしでも対応いただけないかとお願いしましたがすべての資料をそろえなければ受けてもらえないとの回答でした。せめて今の賃借人が退去していただく時期まで待っていただけないかとお願いしましたが、同時進行で競売にすると本部からの話なのでと断られました。
いよいよ売却しなければならない状況になり、販売の強化を余儀なくされました。こういう時に限って購入希望客がなかなか現れません。仲介販社に販売協力をお願いしましたが思った以上に苦戦を強いられました。そんな中、初老のご夫婦が買い替えでマンションを探していると仲介販社から購入の相談を受けました。すでに売却済みで残金決済まで引越しのための長い時間を取っているとのことでした。こちらとしては早めの残金決済を希望したところ1ヵ月はやめていただくことが可能とのことで話を進めることとなりました。
一連の取引の中で、所有者はもちろんのこと、賃借人の方、融資の協力をしてもらった協力会社、購入客とその仲介担当そして司法書士と弊社がかかわりましたが、それぞれが気持ちよく取引ができてよかったと安堵する取引でした。