任意売却最新情報

横浜市金沢区T様「各々にそれぞれの利があり喜びと安心を得る任意売却」

横浜市金沢区にお住まいのT様は、弊社のホームページをご覧いただきお問合せいただきました。後日、弊社相談センターの相談員との引継ぎのためお宅にお邪魔して話をお伺いしましたところ、親御様の医療費がかさみ住宅ローンが滞ってしまい困っているとのことでした。

第一抵当権、第二抵当権、管理費・修繕積立金の滞りがあり、第二抵当権に関しては、保証会社の代位弁済を受ける前で55万円程度の未払いがありました。

物件は昭和58年築の5階建てのマンションで、今どきのマンションと比較すると至ってシンプルに見える外観です。エレベーターはあるが、オートロックはなく好みが大きく分かれるタイプのものでした。

ご本人はオーナーチェンジを希望しており、家賃は10万円で収益物件として購入を検討していただける方を見つけるべく販売活動を始めることになりました。しかし、決して利回りが悪いというわけではないにもかかわらず、なかなか具体的な話には発展しませんでした。

その最中、お母様にご不幸があり、諸々の出費がさらに家計を圧迫することになりました。ご本人は長男のため、仕事を休み喪主を勤めながらご自身のことも考え、49日が過ぎるまではとにかくいろんなことを考えてしまい気が滅入ってしまったと後日談で聞きました。

2人の娘は成人しており各々勤め人ではありましたが、直に嫁ぐことを考え娘名義で買戻しをする選択肢は選ばないと家族会議で決まったそうです。その代わりに、何事も家族で支えあっていくことを改めて確認したそうです。

その一方、第二抵当権者の対応に問題が発生しました。通例であれば某公的融資の次順位の債権者はハンコ代としては10%(5.5万円)の配分しか認められておりませんが、第二抵当権者は最低50万円でなければ受けられないと主張してきたのです。何とかしなければと交渉をし、その回数を重ねた末にひとつの案で解決できそうな兆しが見えてきました。それは、10%の配分案とその他に事前の振込分を合わせて10万円を今回の取引で確認できれば何とかしましょうとの歩み寄りが見られたのです。返済しきれずに残ってしまう部分を公証人役場で返済に関しての契約を交わすことで第二抵当権者の担保を確保するというものです。すぐに所有者と打合せ公証人役場にいく段取りをしました。また同時に、かねてより購入に関して準備を進めてきた買取業者とオーナーチェンジとしての売買契約の締結、残金決済の準備を進め、さらには賃貸に関しての契約準備も平行して行い、何とか競売になる前に取引を終了することができました。ご本人たちもここ一年の慌しさと、先の見えない不安から開放され、家族4人の平穏な生活を取り戻すことができました。

ところが、賃貸として新たな生活が始まり1年も経たないうちにお父様がお亡くなりになりました。暫くしてご本人から連絡が入り、実家が空家になってしまうのでそちらに移り住みたいとの要望がありました。しかし、オーナー会社様には継続して賃借してもらえることが前提で購入していただいている手前、何とか継続していただく方向で話しをしました。しかし、ご実家は親類縁者が集まる家であり空き家にしておく訳にはいかないとのことです。

満を持してオーナー会社様に事情を話したところ、当然話が違うと困惑され打開策を求められました。とにかく1年間は借り続けていただき、退去後に出来るだけ高く販売するということで納得いただきました。そのことをT様に話し、あと数ヶ月賃借していただくことを了承いただきその後の引越しを検討していただきました。

時期が来てすっかり引越しを終え空室状態になり、本来であれば販売しやすい状態にはなりましたが、オーナー会社様には賃貸収入の見込みを含めて少々高めで購入していただきましたので、中古物件として再販売する際も当然少し高めの価格設定になってしまうのは否めません。

問合せ件数は伸びず販売は厳しい鋳物でした。それでも購入検討者が数組現れましたが、ローンが通らなかったり、価格の交渉が大幅に入ったりと思うように事ははこびませんでした。そんな矢先に、仲介販社から1組のお客様の紹介がありました。娘様が母親の為の手ごろなマンションを探しているという内容で、物件も価格も条件に一致するとのことでした。直ぐに住宅ローンの事前相談をしていただき、その後は問題なく不動産売買契約から残金決済まで無事に終了することが出来ました。

この一連の取引を振り返ると、当初支払いに行き詰まったT様、オーナーチェンジに協力していただいたオーナー会社様、この物件を購入していただいたお客様と、各々にそれぞれの利があり喜びと安心を得ることができたのではないかと思います。その間に立ちそれぞれの取引に関われたことは他の不動産会社では経験できない貴重な体験だと思います。今後も少しでもお役に立てるよう経験を積んで行きたいと思います。