元々、化学の分野で研究・開発・販売を行う会社を経営されておりましたが、
退任され、また事業借入の返済ができなくなり、相まって住宅ローンの返済も滞るようになり、競売の申立てを受けてしまい途方に暮れる中、当職の方でご訪問させていただき、ご面談致しました。
H様はすでに別の賃貸物件にお引越を終えた後で、ご希望は法的手続きを行ったとしても免責にならない税金の支払い資金、弁護士費用の捻出でした。
H様の案件は特殊な要素が複数ありました。
➀まず一つ目は、借地権といって土地はご自身の所有ではなく都市再生機構(いわゆるUR)が所有している形態で売れにくい懸念があること
②抵当権(不動産処分を制限し、競売を申し立てたり、そこから配当を受ける権利)に私人が混ざっており連絡が取れないこと
これらの要素もあり、H様は本当に成約することができるのだろうか、と非常に心配されているご様子でした。
当社としては、借地権のままだと確かに所有権に比べて、販売が苦戦するケースが多いため、都市再生機構に連絡し、土地を売ってもらう交渉を行いました。
都市再生機構に土地を譲渡してもらうことで所有権化すれば市場流動性が非常に高くなるので販売状況が劇的に変化、多くの反響をいただきました。
一方で債権者交渉ですが、今回の案件では非常に当事者が多く(メガバンクの保証会社、町金、私人、税務署・・・)それぞれとの調整が大変でしたが一社一社に丁寧に粘り強く交渉を続けていきました。
他方競売も進行しているため、時間との戦いもあるので交渉・販売を迅速に進めていきました。
結果、所有権化した物件を購入していただくことができ、全債権者とも調整をとることができました。契約の準備でも都市再生機構ともお客様とも何度もやりとりし、H様にはご負担がかからないように準備し行いました。
最終お取引日に向けて準備をしている中、対象物件は、もう居住していなかったものの、倉庫等に荷物がまだ残っていて、息子様と一緒に片付ける予定だったとのことですが、息子様の体調不良となり片付けができなくなったとのことで、私もお手伝いし、何とか最終お取引日に間に合うよう荷物の撤去を完了させました。
最終お取引日は千葉県と都心を往復する等大変でしたが、H様には、「絶望的な状況だと思ったが、希望通りの結果となり、妻とともに胸をなでおろすような思いだ。本来の仕事ではない室内残置物の撤去までお手伝いしていただいてしまい本当に感謝しています」と有難いお言葉を頂戴致しました。