物件は最寄駅から徒歩3分という好立地にある築24年経つマンション8階角部屋の2SDKの住戸でしたが、所有者は新築時から居住していて、当時は非常に住宅ローンの金利も高く優に売買金額を上回る返済はしていたものの、返済期間は残り10年を切っているにも関わらず買値の半分近い金額が残債として残っていました。所有者も60代後半で年金暮らしになった頃から住宅ローンの返済が滞ってしまい、弊社に問合せを頂いた時にはすでに滞納2ヵ月目の頃でした。
当時所有者は息子さんと共に暮らしており、ご希望としては何としてでも住宅ローンを完済して残債を0にする事でした。ただ、実際本物件の査定をしたところ、50㎡を切る床面積でしたので成約事例と照らし合わせても完済は難しく、あくまでも完済は目指しつつ、6ヵ月の滞納にてサービサーに代位弁済された後に応諾価格の交渉を行っていく旨説明させて頂きました。
繁華街に近く立地的に非常に中国人を含め多国籍の方が多く住んでいて、多少治安に不安がある立地だった為に、完済を目指して価格設定された販売活動では反響は少ないものの、内見の申込は全て中国人という状況でした。相場よりも多少高めに設定していた為に、中々買付には至りませんでした。その様な中価格の指値が入ってしまったもののどうにか買付を取得するに至ったのですが、完済の場合は当然仲介手数料や管理費等の滞納金額、抵当権の抹消費用、引越費用などは全て残債額の他に別途必要となるために、最終的に100万以上の金額を販売価格以外に不足金として捻出するしか方法がありませんでした。その時点で滞納4ヶ月を過ぎていたのですが、どうにか所有者のお身内から不足金をかき集めて頂き、いざ契約を締結しようとした前日に残念ながら当時の中国人の買主より直前のキャンセルとなってしまいました。原因は致命的なことに本マンションの修繕積立金が管理組合の借入金と相殺するとマイナスの経営状態で今後は修繕積立金が年々膨らんでしまう可能性がある状況によるものでした。
その後はサービサーに代位弁済され、弊社の交渉力により順調に本物件の相場に見合った金額まで応諾価格を導くことが出来たことにより、上記物件のマイナスポイントを加味しても購入して頂ける買主を獲得し、任売売却が成立しました。結果的には完済とならずある程度の残債額が残る形となってしまいましたが、その分任意売却では債権者が認めて頂ける売価には、控除費用として弊社仲介手数料・抵当権抹消費用・管理費等滞納額・引越費用などが控除費用として認められることにより、不足金を捻出する事もなくスムーズにお引越しの方も完了しました。そして、所有者だけでなくお身内の方からは不足金が発生しなかった事に感謝され、現在では住宅ローンの残債に対し法的処理をするために弁護士先生も紹介し順調に債務が免責される手続きが進んでいます。