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無剰余取消(むじょうよ とりけし)

競売を申立てた債権者(差押債権者)の配当が無い(無剰余)と裁判所で判断された場合に競売が取消になること

無剰余と判断される場合は次のとおりである

1.差押債権者の債権に優先する債権(以下「優先債権」という。)がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。

2.優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計に満たないとき

裁判所が無剰余と判断した場合、差押債権者に対し通知がされ通知を受けた差押債権者は通知を受けた日から一週間以内に下記のうちいずれかの措置を取らなければ競売は取り消されることになる

1.優先債権等の見込額を超える額を任意に定め(申出額)この額以上の買受がないときは差押債権者が買受ける旨を申し出て、それを保証する

2.優先債権の見込額が弁済等により減少して剰余(配当)を生じる見込みがあることを証明する

3.優先債権者から同意を得ていることを証明する

例えば1番抵当権者からの借入残高が1000万円あり2番抵当権者からの借入残高が200万円あった場合で2番抵当権者が競売の申立てをしたとする。
競売申立に係る手続費用(見込額)が仮に60万円とした場合で裁判所が定める買受可能価額(売却基準価額の80%)が1059万円と出た場合、無剰余と判断される

競売で売却された場合、配当の順番はまず競売申立に係る手続費用から充てられる

この状況で競売を続行し入札を行った場合、買受可能な最低価格(買受可能価額)で買受する者しかいなっかた時1059万円の内60万円は手続費用に充てられ次に残りの999万円を1番抵当権者へ配当されることになる

すると1番抵当権者は競売にする意思がなかったにもかかわらず全額回収に1万円不足することになり思わぬ不利益を被ることになるのである

そのような事態を防ぐためにあるのが、この無剰余取消なのである

※無剰余に関して重要となる買受可能額については『任意売却用語集?は行>売却基準価額』を参照

任意売却の依頼の中でも稀にこの無剰余取消になるケースがある

1番抵当権者の返済を滞納なく返済を続けている場合、1番抵当権者は競売にする理由が無いので差押債権者が前述した取消を回避する【措置3】の同意を得られる可能性も低く当然にあり得る話だ

しかし、1番抵当権者の返済を滞納なく続けているという事は当然に借入残高も毎月減少していくということになり、いずれは劣後する債権者にも配当の見込が発生することになるし、競売申立までしてきた劣後債権者が無剰余取消になったからと言って放って置く訳もなく突然給与の差押なんてことも考えられる

なので仮に無剰余取消になるケースであっても高をくくって放置することなく相応な対処をすることが大切である