今回のご依頼主は滋賀県にお住まいの方からでした。S様は奥様と子供2人の4人で生活しておりましたがご相談頂いた時には既にご夫婦間で話をして別々に生活する事になっており家にはS様一人になってしまい、ローンの返済も苦しいので売却を考えてのご相談でした。S様は住宅ローンの他にも無担保の債務を多くありましたのでこれを機に精算をしたいというお気持ちもありご自宅の任意売却とそのほかの債務についても併せて解決に向けてお力添えするという事で正式にご依頼を頂くに至りました。
住宅ローンの滞納は既に6ヵ月経過しており分割払いが出来なくなり一括での返済を求められてしまっている状況でした。このままではすぐ競売になってしまい期間の損失をする所でしたので債権者に対しS様は弊社で任意売却をして返済を希望していると状況を説明しすぐに競売にせず販売をする時間を貰えないかとお願いをして3ヵ月の販売期間を頂くことができました。販売価格は債権者から指示されることになってしまいましたが、まずは競売にならず可能性を追求できることになりました。しかし、この債権者から指示される金額が思いもよらず高い金額となってしまい販売に支障がでる事態に陥ってしまいます。この指示価格に対しては指示される前から査定書やそのほか販売に関する資料をお送りしており相場価格明示や販売価格の提案もしておりました。それを一切無視した債権者が求める金額を販売価格として指示された為、当然相場金額とはかけ離れた販売金額となってしまいました。販売営業を勢力的にすると同時に適正価格への価格引き下げを交渉しておりました。確かに債権者の指示する金額で売却できればS様も弊社にとってもいいお話ですが、任意売却は時間が限られている為、現実を無視し理想を追求してしまい適正価格で売れる機会を損失することは本末転倒になってしまいます。再三、交渉を続けておりましたが一向に債権者の考えは変わらず価格は据え置きのまま。とうとう期限の3ケ月を経過してしまい、いよいよ競売が始まってしまいます。これまでの問い合わせは指で数える程度で内見は1組も希望がない状況。理由は明確で同じ価格帯若しくは安い金額で条件の良い物件や同等の物件の販売があるため、必然的にお客様はそちらの物件を検討してしまいS様の物件には目を向けてくれません。競売が始まってしまった後も根気強く販売の現状をお伝えし交渉を続けていきましたが話を聞き入れて頂けません。競売も終盤に差し掛かったころに裁判所でS様の物件について資料が作成され物件の評価額算出されました。それを確認するとやはり弊社が想定していた金額に近くこれを債権者に追加根拠として提出致します。ここでようやく債権者は考えを改めて頂くことができ弊社が提案する適正価格での販売を容認して頂けることとなりましたが競売も終盤を迎えているのでとにかく時間がありません。一般個人のお客様でローンを利用される方では手続きにかかる時間上間に合いません。後は現金一括で購入して頂ける方もしくは法人のお客様しかありません。その時にふと以前買取業者から買取の問い合わせがあり、その金額が弊社想定していた適正価格に近い金額だった事を思い出します。すぐにその買取業者に連絡をした所、まだ本物件を購入したいとのこと。しかし、金額が少し足りていませんでしたので事情を説明すると、なんと販売価格まで買取金額を上げて頂けるとのこと。買取業者は資金の準備がすぐにできるため、競売の期日までに取引決済が可能です。
S様にご報告の上、債権者に連絡。競売のタイムリミットまで残り十数日しかありませんでしたがどうにかすべての手続きや準備が整い任意売却を終えることができました。
S様のお引越しは時間がなく間に合わない可能性がありましたのでそれも買主である買取業者へお願いをして引越期間を設けていただき無事新居へ引越して頂くことができました。S様は残ってしまった住宅ローンと無担保で借入をしていた債務の総額からこれ以上の返済は難しいと判断され最終的に法的に整理する決断をされました。それにあたり弁護士の先生のご紹介などお手伝いさせて頂き全ての精算を終えられていました。S様は結果的に法的な整理を選択する形にはなりましたがこれから生活を立て直す、まさにゼロからのスタートという事で気持ちもすっきりとされていました。
あわや債権者の一方的な考えで競売になりS様にとって最悪の結末を迎える所でしたが最後まで向き合い無事任意売却できてホッとする案件でした。