水戸市にお住いのM様は、弊社のホームページをご覧いただきご相談いただきました。M様は共働きでお子様が４人おりましたが、ご夫婦ともに派遣社員のためコロナのあおりで仕事が少なくなり、生活が困窮してきました。住宅ローンを含め管理費・修繕積立金の延滞が進み任意売却に踏み切りました。弊社の相談員が相談を受け、引継ぎの挨拶をする頃には既にほかの賃貸に引越しを終え、当マンションから逃げるように退去を終えていました。

今日、オーナーチェンジを希望するお客様が多い中、M様はとにかく売却ができればと物件に執着はありませんでした。

早速、市場調査を行いいくらで取引が可能なのか、取引価格で抵当権の抹消及び滞納管理費等の支払いが可能なのかを調べました。しかし、思いの外市場は厳しく買取業者の査定も思うように価格は伸びませんでした。

販売に関しては、所有者に玄関のカギを1本預かり、現地にキーボックスを設置し仲介販社の現地案内に備えました。すでに空室になっている区分所有建物の場合、一般のお客様も住人に気兼ねなく内見できるため、競って内見されるであろうと期待していましたが、こちらも期待に反してなかなか内見に至らず、購入希望者が現れない状況が続きました。

銀行担当には、未払いの現状を踏まえ売却して残債を返済する目的で販売活動を行っていることを伝え、定期的に販売状況を報告していきました。代位弁済を行う前のため当然全額の返済でなければ抵当権抹消には応じていただけないことはわかっていましたが、代位弁済後に速やかに価格の相談ができるよう準備を進めてきました。そのため、代位弁済が近づくころに保証会社の担当と連絡を取ることができ、価格の相談等を前もって話をすることができました。

こうして、代位弁済後に速やかに売買契約を取り交わせるよう準備を進めてきたにもかかわらず、問題が発生しました。保証会社の担当から所有者に、代位弁済に際しての申出書の提出を求めているが、一切連絡が取れず困っているという相談です。そのため、私からM様に働きかけ、書類への署名押印の中継ぎをすることとなり少々時間はかかりましたが何とか書類を整えることができました。

ようやく任意売却ができる段になり、取引を進めようとしたところ更なる難題に突き当たってしまいました。話し合いを進めてきました取引価格に関し、先方の希望する販売価格は一般エンドユーザーが購入することを前提とした価格で、弊社が求める買取業者の購入可能額との開きが若干あり取引にストップがかかってしまったのです。そのため、今までの販売状況や地元業者のヒアリング結果などをもとに状況報告を繰り返し行い、時間をかけて調整していきました。こうした努力を重ね、限りなく一般エンドユーザーの購入希望価格に近い価格まで、買い取り業者が頑張って購入検討をしていることを債権者に理解してもらえるよう説得することができました。

さらに、いざ売買契約を取り交わそうと言う時に、今度は弊社がM様と連絡が取れなくなってしまいました。何度電話やラインなどで連絡を試みましたが、折り返しもない状況が続きました。買主や保証会社を待たせてしまっている状況でしたので、満を持して訪問を試みました。遠方のため今日がダメであればまた明日くればいいというわけにはいかず、何としてもその日のうちにお会いしなければなりませんでした。昼間と夕方、そして夜20時過ぎにお伺いしてようやくお会いすることができました。M様はいくつか仕事を掛け持ち、忙しい時期が重なってしまい連絡が取れなかったとのことでした。その日の内に取引の説明とご署名をいただき、後日買主との売買契約を締結することができました。

契約後に関しては、決済に関し順を追って段取りを説明し、必要な書類等も余裕をもって取得していただくようお願いすることにより滞りなく決済を迎えることができました。

買主は地元で仕入れを強化していたこともあり、良い買い物ができたと喜んでいただき、債権者もほぼ求めていた取引で回収業務を完結ができたことに納得していただけました。M様は、気にかかっていたマンションの売却が一段落し、改めて弁護士に相談するとのことができると新しい道を歩き始めました。

ご相談される方には、M様のように何とかしなければならないことは分かっていながらも、生活に追われ思うように時間を作れない方もいらっしゃいます。自身のことではありますが、自分ではどうして良いか分からず時としてこちらで誘導していかなければ事が運ばないケースがあります。そんな時に我々の存在が大きな手助けとなり困っている方々の力になれるのだと実感した取引となりました。