島根県にお住いのK様ご夫妻は、当初、地元の不動産業者に相談していましたが、明確な導きがなく不安になり弊社へ助けを求めるように相談してきました。
きっかけは、ボーナスカットなどの状況からご主人の収入が減り、諸々の支払いが苦しくなり、住宅ローンの変動金利の見直しで月々の返済額が上がり、頑張って稼がなければという時に奥様に癌が見つかり病床に伏してしまったとのことです。手術費用や入院費用など保険を使いましたが、そもそも共稼ぎでも苦しかった生活がご主人だけの収入となりさらに困窮していきました。生活のためにカードローンを利用し補填してきましたが、返しては借りるという自転車操業となる状況にとうとう任意売却に踏み切ったという経緯です。
まずは、地元の不動産会社に相談したそうですが、返済のために売却するしかないと言われ、しかし、全額返済できるだけの価格では売却が難しい為、足りない部分を用立てろと言われたそうです。それができれば現状に陥っていないと奥様の不信感が募るばかりであったとのことです。同時に住宅ローンの借入先にリスケジュールを相談しましたが、当面は金利分の返済で元金は減らないという内容に、やはり解決に至る提案は得られなかったとのことです。
そこで、弊社に話を聞いてみようと連絡をいただくに至りました。はじめは、関東の業者で本当に取り扱いをしてもらえるのだろうかと疑問はあったそうです。しかし、弊社の経験豊富なベテラン相談員の説明を聞き依頼することにお決めいただきました。
ご夫妻の希望はオーナーチェンジで、引き続き住み続けたいとのことでした。
早速債権者と連絡を取り、任意売却が可能かどうかを確かめ、保証会社から代位弁済を受ける時期を聞き取りました。6回の未払で期限の利益を喪失し、保証会社より代位弁済を受けるとのことでしたので、その時期を待ち販売に関して相談していくことになりました。
保証会社の担当と連絡を取り、今後の流れを確認しましたが、まずは査定書の提出を求められたため弊社からの査定金額を提示しました。本物件は建物に構造上の欠陥があり、建物内の1階、2階に内壁を伝って雨漏りがしておりました。建築メーカーに保証で修復をお願いしましたが、保証期間中に完全に修復できなかったとのことです。そのため、一般エンドユーザーが購入したとすると、根本的な雨水処理施設を変更し、内壁を全部はがし断熱材を交換するなどの大きな費用が必要となります。否応なしに査定金額は低くなります。ところが、債権者は独自のラインから買取業者に直接連絡を取り、物件査定をしていました。その中に、弊社が以前買取検討を依頼した業者があり、当初担当曰く、再販売の際の保証がつけられないので購入不可との回答をいただいておりました。その担当の所属する長と保証会社の担当が直接話をし、再度物件精査が始まりました。再度浮上した話の為、何とか取引をしていただけるよう担当と綿密な打ち合わせを重ね、何とか売買契約を取り交わす方向で進めることとなりました。弊社としては、仲介の立場として買主に相当の価格で購入していただき、且つ、債権者に配分内に引越し費用を応諾していただき、さらに売主が無事に引越しできれば、取引は大成功としており、その通りにことを運ぶことができました。
引越しも終え、所有者と残金決済当日を迎え、実はご本人とお会いするのはその日が初めてでした。今までは電話のやり取りでここまで話を進めることができましたが、奥様の地元業者への不満、不安を以前耳にしていたことを考えると、よく最終日まで我慢していただけたものだと感謝こそあれという気持ちです。
そのあたりを奥様にお伺いしたところ、ご夫婦の他身寄りがなく、頼れる方もおらず相談できるところもない。弊社に疑問に思ったことや質問で電話をすると、理解できるまで何時間も説明してくれた。心配ばかりではあったが電話のたびに安心できたと、とても喜ばしいコメントをいただきました。この取引が終わってしまえば、弊社とのかかわりも無くなり、また何かあった時にもう相談できないのかと心配していました。何かあれば連絡をくださいと伝えご安心いただきました。
今回の取引で、たとえ遠方であろうと抱えている悩みは皆同じで、相談できる相手がいない境遇はどこにでもあるのだと認識しました。そのために、顔は見えなくても相談に乗り、的確にアドバイスのできる存在が必要で、我々の仕事はそのためにあるのだと改めて意義を実感することができました。