物件は甲府市の閑静な住宅街にあり築14年の綺麗な建物で、閑静な住宅街ではあるのですが、近隣にコンビニ、ドラッグストア、ファミレスがあり、甲府の駅までも比較的近く住環境としては好立地にある物件でした。ただ、難は昔からの街だからか所々道は狭く、車で入りにくいところもありそこがネックにはなりそうでした。
今回のご依頼は奥様からでしたが、実際の所有者はご主人で現在この物件に住んでなく、連絡も取れないというお話でした。ここからが苦難のはじまりです。最初は私もご主人はいったいどうゆう方なのだろうと思いました。離婚はされてないご夫婦でご主人の勤務先は聞きましたので連絡を取ってみましたがご主人はなんと会社に勤務されていて連絡は取れるのです。なぜなのか携帯電話をお持ちではないので少し変わった方なのかと思いました。
元々状態は良い物件でしたので買い手は決まり必要な書類やお返しする物もあったので所有者のT様と奥さまに会うために私は甲府へ向かいました。実はここで驚愕の事実を知ります。
まず、所有者のご主人とお会いしてお話しました。携帯を持ってない事実がここで判明します。給与は全て奥さまに持っていかれてそれだけの余裕がないとのことでした。ご主人はご自分の生活費を稼ぐために夜はアルバイトをされていて本当に生活が苦しそうなご様子と見受けました。ここでまた更なる驚愕の事実を知ります。その上ご主人は一度も該当物件に住んだことがないとの事でした。住んだことのない家のローンを払い続けさせられるという悪循環が今回の事に至ったのではないかと思いました。案の定その頃から奥様との連絡が取れなくなり、売却に至って所有者のご主人の承諾は得ているもの居住者の奥様とのお話が出来ないと明渡しの準備が出来ません。一日の業務が終わってから甲府に何度も出向き奥様との接触を試みますがなかなか会って頂けません。債権者にも応諾は頂けていたので決済の日時も決まっています。ただ肝心の居住者の奥様とのお話ができません。文章にて奥さまには伝えているのですがあしらわれるような回答しか得られず果たして退去の準備もされているのかと不安がつのりました。近所の方のお話では退去のための準備はされているようでしたがきちんとお話合いをしてから今回の決済に至りたかったのです。
結果的には、奥さんの意地もあったのか最後までお会いする事が出来なかったのですが、弊社の熱意に根負けしたのか鍵だけは弊社に郵送され無事に引越も完了していて、どうにか開札日の前々日に買主様へ物件の引渡しを終える事が出来ました。ご主人の方もギリギリまで違約になるかの瀬戸際だったのですが、何とか肩の荷が下りたようで今後は夫婦間の問題を解決すると約束して頂きました。