所有者である中国籍の息子さんが2年前に仕事を辞め本国に帰国してしまった為、代わりにローンを支払っていたお義父さん。
体調を崩してしまいローンを支払えず物件を維持する事を諦め、一度は準大手仲介業者に売却を依頼されていまいた。
販売は順調に進み買い手も現れ契約を済ませ決済を迎えようとしていましたが名義人である息子さんが日本へ入国できず登記手続きが不調に終わり代金決済を行うことが出来きませんでした。
そうこうしているうちにローン会社からついに競売の申し立てをされた段階で当社へ任意売却のご依頼でした。
まずは息子さんの状況等を把握するために、詳しく話を伺うと売主として必要な書類等が取得出来ない事が分かりました。
息子さんは仕事を退職したために在留期限を超えないうちに本国に帰国していまい、きちんと手続きも終えて無かった為、移転登記に必要な住民票・印鑑証明が取得出来ない状況だったのです。
司法書士と相談すると移転登記を行う為にはまず中国には印鑑証明そのものが無いのでそれに代わる手続として公証役場による公証書が必要でした。それから物件の謄本の現住所も一致しない為、その旨の上申書も必要でした。
今回、仮に息子さんが日本へ入国できたとしてもそれらの書類を用意出来なければ引渡しが出来ない状況だったのです。
そのことを踏まえ疑心暗鬼だった債権者にもそれらの書類が揃えられれば任意売却を進める事が出来る旨を説明し、了解を得て販売をスタートさせる事が出来ました。
その後、多少時間は掛りましたが、無事に買い手も見つけることが出来、書類準備も慎重に行い引渡しを終えること出来ました。
これからは不動産の取引において売主様で外国籍の方が増えていくと思われます。
それらを考えるとこれからの任意売却は必ずしも日本国籍のお客様だけではなく外国籍のお客様の任意売却にも対応できるように各国の制度を理解し、司法書士ともうまく連携して対応する必要があると感じた取引でした。