物件は築7年目の比較的築浅な二階建て戸建でしたが、郊外で周りは田畑が多く最寄駅からの道のりも坂が多く徒歩20分ほどの立地条件でした。
所有者様は70代後半のご主人と40代の娘さん共有名義で、弊社にお問い合わせ頂いたきっかけとしては、住宅ローンをお父様のわずかな年金と娘さんの給与収入でお支払してきたのですが、娘さんが体調を崩してお仕事が続けられなくなり収入が途絶えて住宅ローンの返済が今後難しいと判断された事にありました。
さらに追い打ちをかけるように税金の滞納額も270万円余りと高額で、弊社は媒介を結ぶとともに、債権者交渉と並行して真っ先に税金交渉に着手しました。しかし、当該地区の役所は全くと言って交渉の余地が無く延滞税含め完済以外は一切差押を解除して頂けませんでした。それでなくても物件の立地条件から非常に需要の少ない中相当な苦戦が予想されましたので、税金をどうにかしないと任意売却は極めて難しいというのが現実でした。
そこで弊社がご提案したのは娘さんの「生活保護申請」で、実は娘さんはすでに離婚されていたのですが、まだ小学生のお子さんがいて、娘さんの病状も仕事を続ける事が困難という診断書も出ていましたので、何度も生活福祉課に同行した結果、不動産を所持している状況下でも任意売却前提でついに生活保護の申請が受理されました。
その上で改めて税金交渉に伺ったところ、あくまでも不動産を所有している為全額の免除まではいかないものの、約半分は免除して頂く事に成功し、ついに今回の任意売却が成立しました。もちろんその過程では債権者との粘り強い交渉と連日の地元不動産会社への紹介依頼の営業訪問、ポスティング・チラシ配りなどが功を奏したことは言うまでもありません。
さらに今回の所有者様のメリットとしては高額な税金滞納金の完済に加え、生活保護による引越費用の受給や、今後の生活費や家賃のご心配も無くなったことにあります。もちろん役所は生活保護対応の民間アパートの斡旋まではみてくれませんので、何度も引越先を共に探索し、お子さんの学区内で理想の引越先も見つかりました。確かに今回任意売却が成立するまでの過程はかなりの道のりでしたが、その分成約した際の達成感も格別なものがありました。