今回の依頼物件は一階店舗・二階・三階が共同住宅の三階建収益物件。所有者である50代の奥様は二年ほど前に不幸なことにお父様・ご主人を続けて亡くされ、不動産と共に事業債務まで相続してしまい、ご主人が経営していた法人は実質的には廃業していたにも関わらず休業届を出されていた状態でした。
さらに追い打ちをかけるように所有者自身も重い病気を患い仕事も失い、短期のパートなどで生計を立てていましたが、当然事業資金借り入れの債務返済が滞りはじめ債権者より競売の申し立てをされた頃に弊社と媒介契約を結ばせて頂きました。
立地的には好条件で、しかも収益物件は需要が多いので比較的スムーズに販売活動が進むものと考えていたのですが、収益4戸のうち3戸が空いていて、さらに物件裏のクリーニング店からの汚水による土壌汚染の可能性があったため金融機関のローン付審査に手間取り、思わぬ苦戦を強いられることになりました。
ただその分、地裁による物件調査にも期間を要したことにより、競売スケジュールも通常より1か月ほど伸びたことが幸いし、土壌汚染が問題ないことが判明した頃に無事に現金購入者が見つかり入札ギリギリで任意売却が成立しました。
もちろん債権者とも上記のような物件マイナスポイントの根拠を提示したうえで粘り強く交渉し任意売却に応じて頂く金額を減額する事が出来たこと、そして決して最後まで諦めずあらゆるノウハウ・ネットワークを使って販売活動を続けたことが今回の成立に結びついたことは言うまでもありません。
所有者は競売にかけられてしまうことを覚悟し諦められていたようですが、最終的には依頼を頂いた際に伺った御希望通りの結果となり、十分なお引越し代を手にする事ができ、今では一緒に何件も廻って決めた理想の引越先で新たな人生のスタートを切っています。
決済がスムーズに終了した帰り際に素敵なネクタイのプレゼントと気持のこもったお手紙を受け取った時には、あらためてこの仕事に誇りを感じることが出来ました。
本当にありがとうございました。