所有者70代前半の男性。
17年ほど前に自分の代々の土地に共同住宅を建て、その一室で妹さんと共に家賃収入で暮らしていました。高齢に加え足腰に疾患を抱えていたこともあり仕事に就く事が出来ず、妹さんも生まれつき障害をお持ちで、とにかく生活費は家賃収入から住宅ローンを引いた額で捻出せねばいけない日々が続いていました。近隣でのアパート新築ラッシュや家賃下げの傾向もあり、3年ほど前から8室中2室が空きとなり中々埋まらない状況から貯蓄も底をつき、住宅ローンはもちろんの事、税金の滞納も始まってしまいました。不動産を所持しているため生活保護などの申請はもちろんの事、各種行政福祉の援助も受けないまま今回競売開始決定通知が届いた頃に私がお会いし、所有者M様のご希望を伺ったところ
「どうにか物件を売却し債務を返済、競売を回避したうえで、改めて行政福祉の助けを得て新しい場所で妹と共に静かに暮らしたい。ただ頼ることが出来る人もいなく、福祉の手続きも何も分からない。」
との事で、今回私があらゆる債権者と交渉を根気よく続けた結果、金額の折り合いもつき物件売買により全債権者の競売差し押さえを解除する事が出来ました。
新たな引越先もお世話させて頂き、私が行政の障害福祉課・高齢福祉課・生活援護課などへの申請窓口となり現在順調に手続きも進んでいます。
「債権者交渉や不動産売買だけでなく業務の範疇も超えているはずなのに、ここまでお世話になりっぱなしで感謝の言葉もありません。」
との言葉に感無量となり、この仕事に誇りを改めて感じることが出来ました。