今回のご依頼主は岸和田市の物件を所有者しているK様。K様からのご相談はローン返済に行き詰り売却したいとのお話でした。詳細をお伺いすると購入当時は奥様と子供の3人家族で生活されていたそうですが、紆余曲折あり現在は離婚してK様は既に岸和田市の物件からは引越をしている状況。仕事も変わり生活するだけで精一杯でローンの返済ができないとのこと。K様曰く物件は空き家になっているという事で売却を目指し任意売却のご依頼を頂くことになりました。
本物件の債権者は何度も取引実績のある債権者でしたので交渉は比較的スムーズに進んでいきあとは購入者を見つけるだけという段階で大きな問題がたちはだかります。販売にあたり物件の確認をしにいった所、空き家と聞いていましたが生活感があり明らかに人が住んでいる様子。K様にその事をお伝えすると元奥様がまだ住んでいるのではないかとのこと。当初空き家と聞いていましたが実はまだ元奥様が住んでいる状況でした。任意売却を進めるには居住者の協力が必要なので元奥様とコンタクトを取ろうと試みますが中々会う事が出来ずK様は連絡先も知らないとのこと。何度も通いようやく元奥様に会えましたがK様と色々とわだかまりがあるようで状況は理解して頂きましたがK様と話ができない限り一切協力もしないと拒絶されてしまい連絡先すら教えてもらえません。K様に元奥様から言われた事をお伝えしますがK様は元奥様とは一切話をしないと何が理由か分かりませんが連絡とることを拒否。これでは任意売却を進めることはできず、このままでは競売になってしまいます。K様から歩み寄るよう何度も話をしますがそれでも絶対連絡はしないと行き詰ってしまいます。そうなると望みは薄いですが元奥様に冷静になって頂き夫婦間の問題と任意売却を分けて考えて頂けるよう説得する他に道はなく、また訪問と手紙の投函を続けていくことになます。それから数カ月か経過しますが元奥様からの反応は全くありません。
少しでも話がし易くするために連絡を電話に限らず、メールなど提案しても反応はありません。それでも諦めずに手紙を書き続け、とうとう競売の申立がなされた頃、メールにて元奥様から連絡が入ります。内容は「任意売却について“メール”で詳しく説明してほしい。」とのこと。実際に競売が始まった事や冷静になって考えて頂いたのかは分かりませんが、ようやく連絡がとれるようになりました。弊社で提供できるプランをご説明させて頂き、元奥様は住み続けたいという事で任意売却についてご協力して頂けることになりました。競売が始まってしまったので時間がありません。元奥様と条件面のヒアリングをさせて頂きすぐに営業活動を精力的に行いました。販売開始して1カ月程経過し当初は何件か問い合わせがありましたがぱったりと反響がなくなったころ、営業をしていた個人の投資家から興味あると連絡を頂き、物件について詳細をお話したところ、オーナーチェンジとして購入して頂けることになり買主が見つかります。
K様にその事をお伝えすると「元奥様との連絡不要で売買できるのなら願ったり叶ったりです。是非契約お願いします。」と了承頂き契約を進めました。その後、オーナーチェンジにおける賃貸借契約の取り決めや売買決済の日取りなどで色々問題もありましたが、どうにか全てまとめて無事に競売になる前に売買決済を終えることができました。
全ての手続きが終わりK様から「元奥様との問題から任意売却は諦めていた。それをあの状況から任意売却をまとめて頂き驚きました。有難うございます。」と感謝の言葉を頂きました。
この案件に携わっている中で夫婦間の問題という一、不動産業者では関与するのできない問題が浮上してきた時はどうなる事かと思いましたが、諦めずに手紙を書き思いを伝えることによって夫婦間の問題は解決はできませんが、不動産売買において両者の希望に沿えたことは非常に大きなものだと感じました。