江戸川区O様「客観的にステージの高さを気づかせてあげることも我々の役目」
江戸川区にお住いのO様は、離婚した後成人した子供たちと3人で住んでいました。仕事が不規則で夜間のシフトも多くほとんど家族と顔を合わせない状態と言っていました。コロナ禍で仕事は傾き、人数が減って仕事量が増え、その割に収入が伸びてこないと肩を落としていました。追い打ちをかけるように娘やご自身もコロナに感染し、長期間仕事ができず支払いができなくなってしまったという経緯です。
弊社の担当がO様のお宅に出向き直接状況をお伺いいたしました。物件は住宅地の1画で角地のため非常に明るい感じのする住宅でした。ところが、間取りの確認を兼ね訪問をお願いしましたが、家には上げてもらえず近くのファミリーレストランで話を伺うことになりました。すでに競売になってしまっていましたので早急に策を嵩じなければなりませんでした。その際に改めてご希望を確認したところ、子供たちの生活環境を変えたくないとの理由からオーナーチェンジを希望していました。後日、お子様方がいない時間帯に改めて室内の確認をさせていただきましたが、非常にものが多く室内に入っていくこともままならないほど衣類やペットボトル等が堆積していました。今後オーナーになっていただける方に紹介するにせよ、もう少し片付けてほしいとお願いしましたが、長年かけての現状のため簡単には片づけはできませんでした。
とにかくまずは債権者に連絡を取り、弊社が専属専任媒介契約をもとに売却を任されたことを伝え、今後任意売却での指示があれば指南頂きたいと話をしました。まずは価格査定書と専属専任媒介契約書の写しを提出するよう指示があり、その後債権者側の目線が伝えられました。債権者の査定は思った以上に高く、販売価格も市場よりも若干高い価格の指示が出ました。それに対して本物件はゴミ屋敷であることを主張し、一般エンドユーザーで購入希望客を期待するのは難しいと再度念を押しましたが、本部の指示とのことで聞き入れていただけませんでした。その後定期的に販売経過報告を行いましたが、対応はシビアでした。
時間は経過する一方であったため、弊社関連会社に抹消可能な価格で取引をおこないオーナーになっていただけないかを相談しました。専ら利回りを重視し購入の可否を判断するため、希望家賃で賃貸借契約を取り交わすことが可能であればとの条件で了承をいただきました。早速O様に話をし、意思の確認をしたところ、いずれ子供たちに支払いを手伝ってもらえるため支払い可能とのことで、オーナーチェンジを強く希望されました。その後無事に残金決済を終え、賃貸借契約を取り交わし新生活がスタートしました。
ところが、それから半年程たったころオーナーから連絡が入り、家賃の振込がなく保証会社から代位弁済を受けたと連絡がありました。本人に連絡を取り状況を確認したところ、仕事の関係で給料が遅れていたとのことで今後お支払いは大丈夫とのことでした。しかし、さらに4か月程代位弁済を受けたとオーナーから話を聞き非常に心配をおかけしていることを知りました。さらにオーナーから、もし家賃設定が厳しいようであれば、無理のない設定のところに引越しをする選択肢を考えてみてはいかがかと助言をいただきました。その際の引越費用は工面していただけるとのことで検討してみてくださいとのことでした。早速O様と連絡を取り、オーナーのご好意を伝えました。子供たちと相談してみますとのことで、数日返答を待つことにしました。しかし、お断りの返事で何とか住み続けたいと主張してきました。当然、可能であれば問題ない話ですが、現状お支払いが厳しいことは見て取れます。今後本当にお支払いができなくなれば、保証会社から裁判所を通して強制退去を命じられ路頭に迷うこととなります。
生活が成り立たなくなるのであれば、オーナーチェンジも本末転倒となってしまいます。手出しなくお引越しができるのであれば、オーナーのご好意を受け入れることも子供たちのためではないかと話、何とか説得しました。
後日本当に必要なものだけをもって引越しをすることができました。残された室内の残置物に関してはオーナーが産廃業者を手配し、すべての荷物を廃棄しました。さらにハウスクリーニングを入れていただきようやく販売できるようになりました。
建物がきれいになってからは、購入希望者を見つけることに時間はかかりませんでした。地元の仲介販社に客付けをしていただき、滞りなく販売も完了しました。
O様も近所に引越しをすることができ、ほとんど生活圏を変えることなく無理のない生活を再スタートすることができました。変わらず仕事も忙しくしているようですが、気持ち的にはかなり楽になったとのことです。
ご自身の強い気持ちは大事なことですが、時として客観的にステージの高さを気づかせてあげることも大事なのだと感じる取引でした。