物件は江戸川区内の高速道路沿い、最寄駅より徒歩20分程に位置し、約15坪の敷地に築24年目の車庫付3階建が建っている狭小物件だったのですが、致命的な事に確認申請時には3階部分を一部屋で申請していて実際には3部屋で建築している、建築基準法上容積率が大幅に超過した違法建築物件でした。
所有者はご夫婦共有名義で、お子さま二名含めご家族で暮らしていましたが、十数年前に離婚され、弊社にお問合せ頂いた時には本物件には元ご主人と成人された息子さん2名、並びに売主の弟さん並びにご友人、つまり成人男性5名で同居されている状況でした。元ご主人は当初事業を起こされていましたが、経営状態が悪くなり事実上廃業状態で無職、次男のみ正社員でお仕事に就いていましたが、他3名はアルバイトやフリーターでどうにか生活費をまかなっている状況で、住宅ローンの支払いが出来ずに債権者から競売の申立を受けた頃に弊社が任意売却のご依頼を頂きました。
所有者のご希望としては、成人男性5名で居住していたために、出来ればそのまま住み続けられるようにオーナーチェンジにてどうにか任意売却をまとめてほしいという内容でしたが、どうしても希望家賃では任意売却が実現出来ずに、引越を前提とした任意売却を余儀なくされました。そのあとは奥さん側とも並行してお話を進めながら、債権者交渉ならびに販売活動に専念した訳ですが、上記違反建築故に買主様の住宅ローンの審査が通らず販売の方は非常に苦戦を強いられました。宅内の状況も男性5人暮らしという事もあり、管理が行き届いていなく何も手を加えていなかった為に水回りを含めフルリフォーム、さらに雨漏り補修も済んでいない状態だった為にその補修費用や損傷建具交換も含め、買主には高額な追加資金が必要でした。その様な中、数少ない内見者の中から、どうにかローンを組まない現金購入での検討者にて、競売開札日直前に任意売却がまとまりました。
実はこの任意売却までの道のりだけでも大変な労力を要したのですが、ここからが更に大変で、男性5名しかも核家族だけでない為に、引越先賃貸の大家さんならびに管理会社の了解が得られず、さらに入居者全員の希望に合う物件がなかなか現れず、本物件の決済引渡期日までに引越先を決める事が出来ませんでした。買主様のご協力の元どうにか引渡し猶予期間を設けて頂き、何度も何度も引越先賃貸の物件をご案内した結果どうにか決まったのですが、さらに追い打ちをかけるように元ご主人が原因不明の失明寸前の病気を患ってしまった為に、引越のダンボール梱包だけでなく引越・産廃作業も弊社スタッフ総出でお手伝いさせて頂きました。今では元ご主人の目の状態も少しずつ良くなり、男性5名でも快適な生活が可能な引越先にて新しい生活をスタートさせています。