件は足立区五反野駅前徒歩3分の三階建店舗付住宅で、立地的には申し分無いのですが、実は致命的な事に建ぺい率・容積率ともにオーバーしている違反建築物件で、さらに収益性で見ても1階の店舗は空室状態で、2階・3階はそれぞれ所有者夫婦と所有者息子さん夫婦が居住していたのですが、特に3階の方は私の任意売却の長い経験上でもここまでの状態を見たことのないほどの悪臭放つゴミ屋敷状態で大量の害虫が発生しているほどの極度に劣悪な状態の物件でした。
当初は所有者である老夫婦も出来れば任意売却後も本物件に住み続けたいという意向が強く、弊社もOC(オーナーチェンジの略)の方向で債権者交渉や販売活動を進めていたのですが、債権者である某信用金庫が裁判所の評価額よりも1千万程高い金額でないと任意売却に応じてもらえず、更に収益物件として販売しても上記違反建築の状態ですと買主のローン付けも難しい為に、実際に所有者様から媒介を取得したのが競売開札の1ヵ月前だったのですが内見自体は5件ほどあったにも関わらずお話は全て流れてしまい、任意売却はほぼ難しい局面に陥っていました。
それでも弊社は最後まで諦めず販売活動を続けた結果、なんと開札日の5日前に地場業者で所有者と以前懇意にしていた方より購入の意思表示を頂き、現金決済にて開札日前日(競売を取り下げが出来る最終日)のミラクル決済が成立しました。
ただ今回は残念ながらOCにより住み続けるという事は出来ませんでしたが、今後所有者が安定した生活を営めるように媒介取得と同時に販売活動中も何度も生活保護の申請に同行し無事に生活保護受給決定も下りていて、さらに引越先も77才というご高齢夫婦にも関わらずどうにか大家さんにもご理解頂き、無事に引越先も確保し今後の生活費や家賃も生活保護受給内で賄う事が出来るようになりました。それまでは夫婦喧嘩が絶えず売却と同時に別々に暮らすと断言されていましたが、今ではケースワーカー曰く、以前より環境の良い住まいで協力的に仲良く余生を過ごしているとの事です。