40代の男性H様。仕事の転職を機に収入が減ってしまい、住宅ローンや税金の支払いが厳しくなり遅れながらも支払い続けていましたが、ついに滞納が重なり弊社のホームページをご覧いただきご相談を受けました。H様は同居していたお子さんは成人し独り立ちし物件に一人で生活、近くに住んでいる両親も高齢になるのでこれを機に売却をしてご両親と一緒に生活したいとのご希望で任意売却のご依頼を頂きました。
物件は最寄駅から徒歩30分の場所にある築23年の3LDKのマンション。10年前に上階からの水漏れ被害により表層のリフォームをしており、掃除も小まめにされていた為、室内は比較的綺麗な物件でした。一見価格次第では十分売却が見込める物件ですが、大きなマイナス要因がありました。それはマンションの敷地権が所有権ではなく更新のない賃借権であるということです。毎月地代の支払いがある上、借地期間満了の際は更新することはできず、いずれ退去しなければいけないというものです。賃借権の残り期間は30年ほどありましたが既に建物は23年間経過しており駅に近い訳でもない、不動産を購入したのにもかかわらず30年後には退去しなければならない。とマイナス要素が多分にある物件でした。その為、販売をすることは非常に苦戦を強いられることが予想されました。
販売をするにも債権者の応諾が必要になるので、販売と並行し債権者交渉にあたります。債権者の応諾価格は物件の評価や市場相場を加味した上で決まりますが、残債務が多い場合はその限りではありません。今回のH様のケースでは物件の相場価格と残債務にかなりの乖離がある為、とにかく債権者の応諾価格をいかに適正価格へと交渉するかが任意売却を成功させるキーポイントとなります。債権者と交渉を始めた当初はやはり残債務が多く残っていた為、相場より高い金額での売却を求められました。しかし物件調査資料や査定書、上申書、販売状況を提出し粘り強く交渉した結果、どうにか適正価格での売却を認めてもらう事ができました。
並行して進めていた販売は予想通りかなりの苦戦を強いられることになります。定期賃借権マンションの為、所有権のマンションより価格設定が低い事から、問合せの件数は多くありました。しかし、借地の件をご説明すると、どのお客様も内見はして頂けません。適正価格での販売にこぎつけたのでどこかに買主はいるはずだと思い地場の仲介業者に総当たりで販社活動、チラシの配布を行いました。それでも中々、実際に内見をして頂けるお客様は現れません。心が折れそうになったそんな最中1本の電話が入ります。高齢の母親の住む物件を探しているというお客様で希望しているエリア、価格帯等全て一致するという事で内見をして頂く事ができました。案内をさせて頂いたところ、「文句がない気持ちが固まった」とすぐに購入申込を頂くことができました。速やかに契約を締結させて頂き、無事売買決済を終える事ができました。
H様は「借地のマンションを買う人はいないだろうと内心諦めていた。」とここまで販売に力を入れて頂いて本当に感謝しています。と嬉しいお言葉を頂きました。ご両親の基へ無事引越しも終わり心機一転お仕事に精をだされています。