今回のご依頼主T様はホームページからのお問い合わせでした。すぐにご自宅まで伺い面談をさせて頂き状況を伺いました。T様は個人で事業をされており、その経営が上手くいかず住宅ローンの支払いに行き詰まり、任意売却でどうにか住み続ける事はできないかというご相談でした。弊社のオーナーチェンジプランをご提案し、T様はその方向で進めてほしいとご依頼を受けました。
物件は、築24年経過の3LDKの戸建。室内は比較的綺麗に使用されていましたが、築24年経過している為、やはり劣化が随所に見られ2階に上がると明らかな傾きを感じました。ポールペンを床に置くと転がるなど建物の状態は悪い事が分かりました。物件について調査を進めると本物件の土地は道路に長さ2mの間口で道路と接道しているものの土地と道路の間に水路が通っている為、水路の上に橋をかけて接道条件を満たしていました。しかし、役所にて調査をした所、橋を架ける為の許可は下りておらず、現状のままでは再建築が出来ないという事が判明しました。それに加え、道路の面に対し建物は横方向に建っており、門壁が設けられている為、間口部分から室内に入る事は出来ず、且つ駐車スペースも奥側にある為、実質隣地を通行しなければ宅内に入る事も車を駐車することもできない物件でした。つまり、販売に非常に不向きな物件という事です。幸いT様ご希望のオーナーチェンジで重要になってくる「利回り」(利益率)は相場に近い為、反響は見込めるものの、物件の状態から不利な条件が多くリスクが高い為、オーナーチェンジで買主が実際に住まない事を考えても販売は難航する事が予想されました。
債権者交渉は物件の調査結果を詳細に記載した資料や査定書などを送付し交渉にあたり、販売しやすい応諾金額を導く事はできました。しかし、実際に販売に掛けてみると相場より比較的に価格が安い為、反響は多く内見の希望も多数ありました。投資家からも同様に反響はありましたが、事前説明で物件の詳細を伝えると軒並み内見はキャンセルされてしまい予想通りの展開になりました。しかし、それで諦める弊社ではありません。取引のある投資家や投資家を専門に仲介する業者、収益を購入する業者など考えうる関係各所に販社営業で総当たり。その結果、具体的に検討して頂けるお客様を見つけ出す事が出来ました。ただそのお客様も利回りは魅力的だが物件の状態や賃借人の事など不安要素が多い為、中々いい返事を頂く事は出来ません。T様は事業の業績が戻り、収入も安定し設定した賃料の支払いには問題ない状態まで回復しておりました。かつT様の住み続けたい思いは強く、長く住み続ける意思がありましたので、その旨をお客様にお話しをさせて頂きました。それが後押しになったのか「そこまで言って頂けるなら購入します。」と購入を決断して頂くことができました。契約決済も問題なく執り行い無事T様が希望するオーナーチェンジを実現しました。
T様は「内心、任意売却は出来ないと諦めていた。まさかオーナーチェンジが実現するなんて思ってもみなかった。」と驚きと共にこれからも変わらない生活を送れる事に大変感謝して頂きました。T様は悩みの種がなくなりより一層、お仕事に励んでいらっしゃいます。