神奈川県秦野市T様『建築中に工務店が破産で借入金の8割を支払ってる』
今回の事例は新築の建築を依頼していた工務店が破産してしまったお客様の事例をご紹介いたします。
T様との出会いは個人的な友人から「自宅の件で困っている後輩がいるから相談にのって欲しい。」という連絡からでした。T様はまだ若く20代前半。お会いして詳細を聞くと営業にきた不動産業者の話にのって投資用の新築戸建を建てるという事で土地の購入と新築工事の契約をしたが、途中で工事がとまり更には工務店が破産することになってしまったとのこと。既にローンで借りたお金の8割ほどを工務店に支払ってしまい今後どうすればいいか分からない。その他にも営業してきた仲介業者の担当者に投資先不明にもかかわらず投資運用費として200万円を預けているとのこと。また購入資金として契約したローンは投資用ではなく住宅ローンという契約違反の借入をしている状況。(※投資用ローンの方が金利は高く審査も厳しいため、戸建収益物件という点を利用して用途を偽り金利も安く比較的審査が甘い住宅ローンで融資を受ける違反行為が横行している。)
投資運用費を預けている担当者には連絡とれているがお金の件や工事の件を相談しても、調べてみるというだけで何も具体的な話はない。内容を見る限り工務店の破産も計画倒産に見えなくもなく、どこまでが詐欺なのかは分かりませんが、T様は言われるがまま従った結果、最悪な事態に陥っておりました。
実際にT様が購入した物件を見に行きましたが、山をのぼる途中に歩きや自転車では登るのが大変な悪い立地の土地で建物は屋根まではありましたが壁はなく柱などが雨さらしになっている酷い状態でした。神奈川県のはずれで投資用とはいえ、なぜこの土地を購入したのか疑問に思うほどの土地。T様は土地がどこにあるかあまり分かっておらず、さらに購入にあたって現地も見ていなかったとのこと。全て営業の担当者に任せていたと流石に純粋すぎて言葉もでませんでした。
T様は言われた通りにした自分も悪いが明らかに詐欺なので何とかお金を返して欲しい。また土地も売却してローンを返済したいとの希望でしたが、土地を売却できたとしても住宅ローンの完済は難しく、また特殊なケースなため債権者が任意売却に応じてくれる可能性はなく、さらに弊社の顧問弁護士にも相談しましたが、工務店の計画倒産や詐欺を立証することは難しく、また破産の申立をしている相手からお金を回収するのも現実的に厳しい。依頼されればやることはやるが無駄な弁護士費用がかかるだけとのこと。
そして借入した銀行からも保証など特にないのでこれまで貸付した分を返済してくださいと八方塞の状態。T様には残念ですが、返済をするかT様自身も破産をするかの二択しか方法はありません。今後について色々相談にのらせて頂いた結果、まだ20代前半で破産しても30代でまたローンが組めるようになるので、高い勉強代になりましたが一日でも早く破産をして信用情報の回復に向けて前向きに進んでいきましょうとT様も破産することになりました。
任意売却ではお力にはなれませんでしたが、破産の申立後、購入した土地は管財人弁護士が処分(現金化)のために販売を行います。その土地の販売をいい任売.JPに任せて頂き速やかに売却。金銭的なメリットはT様にはありませんが、処分が早く終わることで破産の手続きも早く終わるので、最低限ではありますがT様のお役に立てたかと思います。
当初、相談をうけたときはあまりにも酷い内容で、T様自身もかなりショックを受けていたのでかける言葉もありませんでしたが、その状況下で少しでもいい選択をするために相談にのれてよかったと思える事例でした。