今回は横浜市のM様からのご依頼でした。ご依頼頂いた時は既に競売の申立をされてしまっている状況で時間的猶予がないお客様でした。今回ご依頼頂いた経緯を伺うと、数年前から同居している両親が病気をしてしまい生活に余裕のある収入を得ていたにも関わらず介護費や治療費でお金が必要になってしまい、住宅ローンの返済が滞ってしまったそうです。弊社にご依頼をする前に大手の不動産業者に売却の依頼をしていたそうですが、「購入希望者が見つかり債権者からの応諾も取得できたので契約を進めていきます。」と不動産業者から報告があった後、急に今回は売却ができなくなったことが分かったのでM様のご依頼を引き受けられないといきなり売買依頼そのものを断られてしまったとのこと。M様は寝たきりのご両親がいるので、売却してお引越しをしたい、仕事で忙しいので引越しもサポートして欲しいというご希望のもと弊社にご依頼をして頂きました。
本物件は駅から20分程離れている場所にある4LDKのマンション。駅からは遠く道中は山坂がある場所でとても立地が良いとは言えない物件でした。そしてお部屋では猫を飼育しており独特のペット臭がする物件でした。一般のお客様に向けた物件というより買取業者が購入するような物件という印象です。
競売になっているためすぐに債権者へ連絡をしたところ債権者から想定外の話をされてしまいます。それは「今回、任意売却をする場合の応諾金額は前回M様がご依頼していた不動産業者が連れてきた購入希望者と同じ金額もしくはそれ以上でなければ応じられない。」ということです。その応諾価格は相場より高く、本物件のように時間に限りがあり、室内状況も悪い物件に設定されるような価格ではありません。確かに一度その金額で購入希望者が現れた事実はあった事からまた同じ金額で購入するお客様が現れる可能性も否定しません。しかし、その時と今では状況が違うのです。債権者とは色々な資料や販売状況を報告して価格の交渉を繰り返しましたが、以前依頼した業者の契約もしていない「申込だけの購入希望者」が邪魔をして検討すらして頂けません。いつまでもそこに拘っている時間はありませんので売買のできるより条件の良いお客様を探すため営業活動に力を注ぐことに決め活動していきました。交渉するべき債権者は他に2社おり税金の差押も入っておりましたが、依頼を受けてから大方の合意は取り付けておりましたので完全に販売にだけ力を注いでいきました。しかし、どんなに営業の電話をかけても、チラシを配布してもお客様からの反応はありません。地場の仲介業者にもご協力頂いて集中的に物件の紹介して頂きましたが、電話一本も鳴りません。とうとう競売迄残り一ヶ月を切り債権者からはこれ以上は任意売却を待てないので競売で処理をすると連絡がくる次第。そしてM様には最後まで諦めずに任意売却を追い求めるが、もう時間がない為、競売になる可能性が高いと報告すると非常にM様は落胆されておりました。もう間に合わないと言われておりましたが最後の可能性を真実、営業活動を続けたけていした、奇跡が起こります。債権者からこれ以上は待てないので競売で処理しますと 言われた次の日にたまたま営業をかけたお客様がなんと、M様が以前ご依頼していた業者が連れてきたお客様でした。こちらのお客様も依然の業者から金額が折り合わなくなったので購入できないと言われたそうで、弊社からの電話で物件が購入可能になっている事に非常に驚かれ、同じ条件で購入できるのであれば是非購入したいとすぐに購入申込みを頂く事ができました。既に一度内見されているお客様でしたので直ぐに契約を締結する事ができました。債権者からは任意売却はもう受け付けられないと言われておりましたがお客様が現れた事によって考え方も変わり任意売却を認めてもらう事ができました。契約が決まってから物件の引き渡しまで一ヶ月を切っていた為、お引越し先の準備をする時間がありませんでしたが、買主様に事情を説明してご理解を頂き引渡し猶予を設けてもらう事ができました。
猶予を頂いたお蔭で無事お引越しもする事ができ、売買決済を終える事ができました。
決済が終わった後に債権者から「前の不動産業者は他債権者と税金差押の話をまとめる事ができず断念したようですが、よく話をまとめましたね。」と言われ衝撃を受けました。今回のように債権者が合計3社おりさらに税金の差押がついているケースは任意売却において珍しくはありません。しかし、経験や任意売却の仕組みに理解のない業者が中途半端に手を出した結果、必要以上に高い金額の売却を余儀なくされ、唯一の購入希望者が現れ取引が成立したからいいものの危うく競売になりかねなかったと思うと他社がどのような任意売却の活動を行っているか知るところではありませんが、ご依頼する不動産業者を見極める事が、いかに大事かを実感した取引となりました。