戸塚在住のO様は、20年前の新築時に購入しました。当時の住宅金融公庫を1番抵当として、2番が全国保証、3番が西京銀行の設定がされていました。
当初の住宅金融公庫は公的資金と呼ばれ、その金利は3.1%で今の住宅ローンの金利と比べると高い設定になっていました。尚且つ、ステップ方式で11年目から4.0%に金利が上がるシステムになっていました。O様も今まで頑張って返済し続けてきましたが、その実、元本はまだまだ残っていました。販売の相場を調べたところ、1番抵当の公庫(現在の住宅金融支援機構)は全額返済できるけれども、他の債権者は配分案を作成し判子代で認めてもらうよう話し合いをしなければなりませんでした。
所有者希望は引越し代として手元にお金を残して欲しいというものでした。希望する引越し代をお残しするためには、債権者の応諾金額を可能な限り下げなければなりません。且つ販売は高い金額での契約が必要になります。
当初の市場調査では、かなり高額で取引ができそうでしたが、いざ販売をしてみると思ったようにはお客様の問い合わせはなく、時期とともに販売価格を下げざるを得ませんでした。
一方、債権者の状況は、2番抵当が損切り所になりますが、話し合いは苦戦を強いられることになりました。主張としては限りなく全額の回収を希望し、指値のある買付証明はことごとく受け入れられないと否決されました。
3番抵当のハンコ代も実はスムースにはことは運ばず、残金決済日の調整で、抹消書類の手配に一番時間がかかりました。
買手の引き合いがないまま、販売価格が徐々に低くなっていく中、債権者との話し合いも、3社が3社とも主張を崩さず、着地点がなかなか定まりませんでした。
3番のハンコ代を決めるために、1番2番の残高証明を発行依頼しましたが、「決済日が決まらなければ発行できません。」「代位弁済しなければ元金の確定ができません。」などの理由から時間ばかりが無情にも過ぎていきました。
また、所有者には状況を説明し、当初希望していた引越代の額も当然販売価格が下がればお残しできる金額も少なくなります。そのことについては是が非でも当初の金額をいただきたいと奥様が言い張りました。ご主人は理解いただき、奥様の説得にも協力していただきました。更には、引越し先についても奥様の希望する条件が厳しく、紹介する物件は内見のたびに断られ、弊社からご紹介できる物件は全て紹介し尽くしてしまいましたので、ご自身で探していただくことをお願いし地元の賃貸業社を紹介しました。すると、地場の仲介業者とともに、奥様が納得できる物件を探し当てることができました。
引越代に関しては結局のところ、所有者の希望する最低限度を確保するため、弊社が取引上得られる仲介手数料のほとんどを債権者の返済額に充当する事で何とか応諾いただきました。