川崎市川崎区F様『タクシーの何気ない一言から始まったドラマ。 90歳を超えるF様の複雑な共有不動産売却』
ある日のこと。
会社の食事会の帰りにタクシーに乗車した際、運転手さんから突然、
「お客様、不動産関係のお仕事ですか?」
と声を掛けられました。
まさかの“ドンピシャ”の質問に驚きながら名刺をお渡しし、その日はそのまま帰路につきました。
──半年後。
見覚えのない番号から電話があり、出てみると
「覚えていますか?○○○○です」
という声。タクシー運転手さんでした。
話を聞くうちに思い出し、ちょうど弊社の近くにいらっしゃるとのことで、私から伺い直接お会いすることになりました。
■ 相談者は運転手さんのご近所のF様。90歳を超える高齢の方のご自宅売却相談
運転手さんが相談を受けていたのは、ご近所に住むF様。
90歳を超えるご高齢の方で、ご両親と暮らし、ご両親の死後は奥様と幸せに生活していたそうです。
F様には持病こそなかったものの、万一のために
弁護士に依頼し「遺書」を作成していた(東大卒の非常にしっかりした方)
という話も伺いました。
しかしその奥様がご病気で他界され、
「一人で住んでいても意味がない」との想いから運転手さんに自宅売却を相談されたことが今回のご依頼の発端でした。
■ ご本人に直接お会いし、正式に媒介契約
運転手さんから事情を伺った後、F様のご自宅へ伺い、改めてご本人からお話をお聞きしました。
建物はF様の単独名義でしたが、
土地はご兄弟5名の共有
という複雑な権利関係であることが判明。
そこで、遺書に記載されていた住所を元に、共有者であるご兄弟へ一件ずつ訪問開始。
次男様・次女様のご子息には直接お会いできましたが、三男様の窓口は不動産会社を営むE社長に一任される形に。
さらに、やり取りを進める最中に次女様が突然他界されるという出来事もあり、状況は一層複雑化していきました。
■ 感情の問題が最大の壁。F様は「兄弟に1円も渡したくない」
共有者の調整についてはE社長が取りまとめる形にし、
当社はF様の説得に注力しました。
というのもF様は、
-
長年親の面倒を見てきた
-
固定資産税も自分一人で負担してきた
-
葬儀手配もすべて行ってきた
その経緯から、
「共有者(兄弟)に1円も渡したくない」
という強い感情を抱いており、一切話がまとまらない状況だったのです。
しかし売却を進めるには、F様の承認が必須。
そこで私は、
売却の話を急がず、何度も何度もF様宅に伺い、
お茶を飲みながら世間話をして、
まずは信頼関係を築くことに徹しました。
数度の訪問を経て、
ある日F様の口から
「このままじゃだめだよなぁ…」
という言葉がぽつり。
「どうしましょうか?」
と聞くと、
「任せるよ」
と、ついに承諾をいただきました。
■ 唯一の条件は「兄弟とは死ぬまで会わない」
ただひとつ、F様は強い条件を提示されました。
「売却は良い。ただし兄弟とは死ぬまで会わない」
ここはどうしても除去しきれない心のしこりであり、
E社長にもその点を事前に共有し、調整のうえで売却手続きを進めました。
最終的には、
共有者全員が平等に利益を分ける形で売却成立。
F様の希望どおりとはいきませんでしたが、
大きなトラブルもなく手続きを完了させることができました。
■ タクシーの運転手さんの想いに応え、案件を完遂
今回の案件はドラマのような偶然の出会いから始まり、
相続・共有・高齢者問題・感情の対立など、
普段手掛ける任意売却とはまた違う、非常に貴重なケースでした。
結果として、
紹介元であるタクシーの運転手さんの「助けてあげてほしい」というお気持ちに
きちんと応えることができたのではないかと思っています。
私自身にとっても、
“不動産は人の人生そのもの”
ということを改めて実感する経験となりました。
■ 最後に
ご依頼者様の希望がすべて叶うとは限りません。
しかし私たちは、
限られた条件の中でも、最善の解決を諦めずに探し続けること
を何よりも大切にしています。
一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
無料相談窓口・お問い合わせフォームから、いつでもご連絡いただけます。
お客様の人生の一歩を、全力でサポートいたします。
