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野田市I様「地裁をも巻き込んだ抵当権者間の配分合戦」

物件は千葉県野田市郊外にある築18年目の三階建ての注文住宅で、駅からも徒歩約18分という立地でしたが、閑静な住宅街にも関わらずコンビ二やドラッグストア、ショッピングモールなども近隣にあり、住環境としては好立地にある物件でした。注文住宅という事で、建物にもこだわりが感じられる物件でしたが、致命的な事に本物件は2階建で登記されていて、3階部分は未登記で違法建築という状態でした。宅内も大型犬を長年飼っていた為、床や建具・クロスなどの損傷が激しくペット臭もきつく、フルリフォームが必要な物件でした。当然違法建築の為に、買主の住宅ローンも審査が厳しく、現金購入の方に制限されてしまい、更にタイミングが悪いことに本物件から半径200M以内の範囲で新築建売分譲ラッシュが重なってしまった為に、建物のグレードとしては周りの新築物件よりも優れていたのですが、どうしても買主様も新築物件の方に流れてしまい、販売には予想をはるかに上回る苦戦を強いられました。
所有者は50代のご主人・奥さんの共有物件でお二人暮らし、元々ご主人も奥さんも共に不動産賃貸業をご自身で営んでいましたが、5年程前より経営が傾いてしまい、事業資金の借入滞納から始まり当初は個人再生で弁護士に依頼されたのですが、ついに住宅ローンの方もお支払が困難となり弊社に任意売却の依頼を頂き媒介を結んだという流れとなります。

弊社は真っ先に債権者交渉を始め、順調に交渉は進みました。しかし販売活動では本来なら物件的にすぐに買主様がついても不思議ではない価格まで導いたのですが、初めに記したとおり現金客に限られ、しかも新築分譲ラッシュに重なって新築に流れてしまい、中々買主様が見つからずついに半年間の任売期間が過ぎて競売の申立を受けてしまいました。そこからは競売と並行しての任売期間に突入したのですが、ようやく本物件の建物の良さが分かる老夫婦でフルリフォーム費用も含め現金で一括で購入頂ける買主様を獲得する事が出来たのですが、そこからまた大きなハードルが待ち受けていました。

実は今回の抵当権者は2本付いていたのですが、土地と建物で第一抵当権者と第二抵当権者が逆に設定されていて、競売申立後、地裁の方で評価書を作成した際に法定地上権の絡みで土地・建物の評価が逆転し、本来なら両社の配当割合が競売申立前に決まっていたものと異なってしまい、両社だけではどうしても折り合いが付かず、任意売却に応じて頂けないという回答となってしまいました。長年任意売却のスペシャリストとして実績を残している弊社でも初めてのパターンでしたが、もちろんそこで諦める訳はありません。私は何度も債権者の本社や裁判所に足を運び上申書を提出するなどした結果、驚く事に既に決まっていた入札・開札の期日が一旦延期となっただけでなく、地裁の書記官が仲裁に入ることにより裁判所にて両社本部責任者に話合いの席を設けて頂き、最終的には当初の固定資産税評価額の土地・建物の評価按分で任意売却をまとめる事が出来ました。弊社にとっても、裁判所が全面的に協力して頂いた事も初めての経験でしたし、各債権者の担当者からも本来であれば一旦は競売で損金処理する方向で本部が最終決定したものが覆った前例がいまだかつてないとの事で、私の任意売却をまとめようとする執念の賜物だとお褒めの言葉を頂きました。半ば諦めていた売主様からも感謝のお言葉を頂戴し、決済時にはこの任売期間中に地道に稼いだアルバイトの日当で滞納していた税金も完済でき、現在は引越先にて真の意味で0から新生活のスタートを切っています。