任意売却最新情報

宮城県S様「既に弁護士へ破産を依頼中の方の任意売却」

仙台市にお住いのS様は、弊社のHPを閲覧いただきご相談の連絡をいただきました。S様は独立行政法人住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)からの借り入れに対し滞納が嵩んできていたとのことでした。ご相談いただいた時点で既に法テラスを通して弁護士に相談しており、破産する準備を進めておりました。その為、S様との打ち合わせは弁護士事務所が窓口になり、本人の希望や今後の方向性は担当弁護士と話し合うこととなりました。一般的には不動産等高額な財産を保有している方が自己破産の申し立てを行う場合、破産管財人が選任され財産処分の権限が本人の意思ではできなくなります。当然担当となった弁護士も、基本的には自己破産に向けて粛々と業務を進めていかなければなりませんが、S様の担当弁護士は売主の希望を優先していただける先生でした。裁判所に申し立てる前ということもあり、建設的に話し合いを進めることができました。

そもそもS様の希望としてはオーナーチェンジであり、家賃6.5万円を上限に最低でも5年間は住み続けたいというものでした。家賃6.5万円に見合う利回りを確保しうる価格での売買取引の希望は、かなりハードルが高くそこまで低い価格で債権者の応諾が得られるのかと懸念がありました。

とにかく、まずは債権者に実残債額を確認し、実勢価格の調査を行い、取引に関する適正価格を下調べいたしました。担当弁護士によると、あまり低い価格での取引だと、後々破産の申し立てを行った際に「もっと高く取引が可能であったのではないか?」と破産管財人から差し戻されてしまう可能性があり、とても慎重でした。買手の利回り(利益)を考慮して取引希望価格を提示するも、その価格では安すぎると2回3回と応酬を繰り返し、その都度物件の査定書を添削し、近隣賃貸の査定書も作成しながら先々の自己破産のための資料作りもあらかじめ行っていきました。

このように担当弁護士と何回も打合せを行い、S様のオーナーチェンジのための希望賃料と取引価格の調整が整い、あとは買い手を見つけるだけと準備を進めてきました。

ところが、いざ販売となると収益目的の地元の業者や個人の資産家からの問い合わせは非常に少なく、退去して空家での取引であれば検討するという買取業者が殆どでした。物件は少し大きめの開発分譲地内の南道路区画のため、見た目は非常に明るく感じる住戸でした。しかしながら、オーナーとなるとシビアな目で見られているようで、具体的な話がないまま2か月以上経過してしまいました。このままでは競売に移行され、オーナーチェンジができず家を出なければなりません。

そこで、弊社の関連会社に相談し、買取って再販することを考慮すると担保評価が比較的高く、利回りはあまり高くはないがオーナーとして保有しても決して赤字にはならないと説明し、最低5年保有していただけないかとお願いしました。何とか了承をいただき取引が成立し、債権者には全額返済する事が出来、晴れてオーナーチェンジをすることができました。

一時的に弊社関連の会社がオーナーとなりましたが、本業ではないため継続してオーナーになっていただける方を募集していました。S様が賃借人となり1度契約の更新を行って間もなく、地元の業者で弊社に協力的な不動産会社から、オーナーを検討しているお客様がいると相談をいただきました。担当曰く、地元の方で不動産会社にお務めですが、実家が資産家で本人も収益物件を保有したいとの希望があったようです。個人的に購入したいとの希望で、諸条件の擦り合わせののち、新たにオーナーになっていただき、S様も今までと同様に生活を続けることができるようになりました。

S様は、まだまだ住み続けられることに喜んでいただいており、ゆくゆくは御子息に買い戻してもらう話も家族でしているとのことでした。あの時オーナーチェンジができなかったら、希望を持つこともできなかったであろうことを考えると、有意義な取引であったと安堵しています。