千葉市在住のT様は、当社ホームページをご覧いただきご相談くださいました。

　相談内容は、住宅ローンの支払いができなくなり、他のローン会社からの督促に困っているという内容でした。 　

　もともと、自宅マンションを購入するときに奥様と話し合い、協力して住宅ローンを支払うことを前提に購入に踏み切ったそうですが、その後まもなく、奥様が仕事に行き詰まり退職することとなってしまい、収入が半減してしまいます。一気に生活は苦しくなりましたが、それでもT様は滞納分を分割で払いながらもなんとかやり繰りはしてきました。そのころにカードの力を借り、複数社から借りては返しを繰り返しつつなんとか急場をしのぎ、態勢の立て直しを図っていたそうです。 ところが、２年ほど前に奥様がT様の銀行のカードと通帳を持って家を出て行ってしまったそうです。

　T様はほかの口座から自身の口座に振り込む形で住宅ローンの支払いなど対応してきましたが、時として奥様に引き出され残額が足りなくなることもしばしばありました。住宅ローンの支払いも未払になることが増え、今後の状況を考えたうえで奥様と正式に離婚することにし、離婚を条件に通帳を返してもらうことにしました。そして昨年離婚が成立しました。

　T様には娘が３人おり、３人ともT様のもとに残ることを選択した為、T様は今まで以上に奮起しなければと仕事に打ち込み何とかやり繰りをしてきたそうです。 しかし、今年の春先に娘３人が置手紙をおいて母親のもとに出て行ってしまいました。その瞬間にT様はすべてのやる気が失せ、支払いに関しても気力が消沈してしまったそうです。気が付けば税金や管理費の滞納も増え、千葉市より自宅に差押を登記されてしまいました。

　T様は、今後一人で暮らしていくのにこのマンションは広すぎるし必要ないと、手放すことを決意しました。とにかく自宅マンションを売却し、新居に移り住みたい。先々、元奥様から養育費の請求も来るであろうし、マンションを売却したら自己破産をするつもりの為、引越代と弁護士費用を捻出したいというのが希望でした。 T様の希望を踏まえ、まずは債権者に状況の確認と今後の対応を相談しました。しかし、保証会社を持たないプロパー融資ということで、滞納回数が増えたとしても代位弁済を受けることはないとの説明でした。そのため、任意売却で処理するケースは少なく、且つ、残債額の全額返済でなければ対応はしないというのが会社の方針とのことでした。 そこで、一般エンドユーザーの購入希望客の探索はもちろんのこと、買取業者で少しでも高く買っていただける会社を探しました。 同時に、市税事務所に相談にいき未納分の分割納付をお願いしました。その結果、本税部分の納付で差押えを解除していただけるようになりました。 　

　ところが、下準備を進めてきましたが、肝心の購入希望者がなかなか見つかりません。地元の仲介販社に販売協力を要請し、また、過去に取引をした買取業者に情報を提供し買取可能額を提示してもらいましたが、何れも全額返済できる価格には及びませんでした。そんな中、新規開拓した買取業者で、全額返済できるだけの価格で検討していただけると購入申し込みをいただくことができました。

　そこからは段取り良く話を進めることができ、T様の引越し先も希望するエリアで見つけることができました。残置物の処分が見積もりも多くなってしまいましたが、何とか予算内に収めることができ、無事に引越しも完了させることができました。

　税金の一部は残ったものの、分割で支払っていける額に留めることができましたので、T様には満足していただけたと思います。 　

　今後弁護士に自己破産の相談をしていきますが、すべてやり直すことができると本人は希望に満ちていました。意図せず所有不動産を手放さなくてはならい状況に誰しもつらい思いはあるものですが、立場や境遇によっては前向きになれるケースもあるのだと知らされました。良い経験ができ今後の業務の糧にしていきたいと思えた取引でした。