今回のご依頼主は厚木市のＫ様。Ｋ様は以前、弊社にローンの返済が苦しいと任意売却のご依頼を頂いたお客様でした。しかし、親戚やご両親に売却する事を止められ、金銭的に支援を受けられた為、一度お断りを頂いたお客様でした。当然、お支払いが継続できて問題ないのであればそれにこしたことはありません。しかし、弊社としてはお客様の事情や環境・状況の変化により任意売却ではなく不動産を単純に売却したいという方や、万が一の事態を想定して定期的なご連絡をさせて頂いておりました。初めて依頼を頂いてから５年ほど経過した頃、珍しくＫ様からお電話がありました。ご相談があるとの事でお会いさせて頂いた所、Ｋ様は同居していた母親が実家のある田舎に戻る事になり、お子さんも成人され一人暮らし、家にはＫ様一人になった事に加え、転職によって収入が減ってしまい返済も苦しいため、改めて任意売却をして欲しいという再依頼のご連絡でした。

Ｋ様は物件を購入される際に初期費用も含めたローンを組み自宅を購入していた為に物件の評価を高めに算出しても残債務が上回ってしまう通称「オーバーローン」と言われる案件でした。そのため債権者交渉は必須となります。今回、住宅ローンの借入先は２社。一番手債権者は残債務が少ないため完済になり２番手債権者との交渉がメインとなります。２番手の債権者は希望の金額を回収できなければ、回収金額が減ってしまったとしても損金処理がしやすい為、競売で構わないとかなり強気な態度でした。その希望の金額を捻出する為に当然、販売価格をそれに合わせた設定にしなければいませんが、そうしてしまうと相場を越える価格になってしまうため成約の可能性が低くなり同時に時間も必要となります。１番手債権者は完済になりますが滞納をしているため日々遅延損害金が増えている状況で、時間が経過すればするほど２番手債権者が回収できる金額がさらに減る事になります。弊社は出来るだけ２番手債権者の希望額に近づけるよう高い買主様を探索すると同時に査定書や任意売却と競売の際のシミュレーションを作成し根気強く交渉にあたりました。その結果、適正な金額での売買を承認して頂く事ができました。それに加え本来であれば残債務が残ってしまう所を今回の売買取引における支払いにより残りの債務を放棄すると言って頂き、住宅ローンを完済した事と同等の結果を導く事ができました。

Ｋ様は任意売却をしている期間で実家に戻った母親と同居する事になり売却で捻出した費用で負担なくお引越しをされました。決済が終わった後、Ｋ様からは「一度断ったのにもかかわらず嫌な顔せず定期的に連絡をして気にかけてくれたので再依頼をし易かった。住宅ローンもなくなり生活環境も変わるので新たに頑張っていきます。」と晴れやかな顔で仰っていたのが非常に印象的でした。

これまで何十件と任意売却に携わらせて頂いていますが、債権者が任意売却後に残った債務を放棄するというのは初めてのケースでした。ご依頼人の為に最大限の結果を出せた事は担当冥利に尽きる案件となりました。