あわら市にお住いのK様は、職場の業績不振による減収に伴い住宅ローンのお支払いが厳しくなってきました。そのことを債権者に相談したところ、地元の不動産業者を紹介され自宅を販売する形になりましたが、本人は住み続けたいという希望があり販売には消極的でした。娘が障害を抱えており、環境の変化に過敏に反応してしまうため他に移り住むことが難しいという理由でした。しかし、債権者はそんなK様の事情を考慮することなく地元不動産に売却依頼の相談を進め、K様の本意に反し地元不動産会社と媒介契約を結び販売が始まってしまいました。引越し先等の問題など解決していないことが多かったため、K様自身で不動産会社を探し行き着いた先弊社に相談してきたという経緯です。
まずは地元業者との媒介契約を解除していただき、弊社と媒介契約を結びなおし改めて債権者との交渉となりました。債権者は住宅金融支援機構で、すでにサービサーに移管されていたため手順に従い任意売却の申し出を行いました。先に媒介契約を結んでいた地元の仲介業者は、債権者との事前の相談もしていなかったため、ご担当に1から説明しようやく販売を開始することができました。同時に、K様は労金からの借入もあったため第2抵当権者として成約になった際の配分案を予め相談しておき、判子代として応諾していただけるよう調整していきました。
第1抵当権者の住宅金融支援機構からの販売指示を受け、指示通りの販売価格で地元販売会社を含め、広く物件告知を行い、購入希望者を募集していきましたが、思った以上に市場は厳しく反響がないまま時間は過ぎていきました。1か月ごとに販売状況報告を行い、その都度販売価格の見直しをしていただきながら具体的な話がないまま4か月が過ぎようとしていました。機構もこれ以上の価格の見直しはできず、このままお客様が見つからない場合は競売にて処理をする方向だと時間的制約を告げられました。そのことを踏まえ弊社関連会社に買取りを検討し、取得していただくよう相談しましたが、地方物件ということもありなかなか購入に踏切っていただけませんでした。そのため何度となく債権者と打ち合わせを重ね、なんとか弊社関連会社である買主と債権者の条件を整えることができようやく取得していただくことができました。
K様にとっては、競売を回避でき、希望通りの家賃でオーナーチェンジをすることができたということになります。その結果に奥様やご家族に大変喜んでいただきました。
オーナーとなった弊社関連会社の所在が神奈川県であったため、物件管理を行う都合上、福井県は些か遠いということもあり、地元の方で収益物件に興味のある方に売却することも吝かではないと情報を公開する指示を受けていました。家賃などオーナーチェンジの条件はそのままに、購入希望者を募集しました。時間はかかりましたが新たにオーナーを希望する購入希望者が現れ、取引を円滑に進めることができました。
K様はもちろん環境を替えず生活を継続することができ、そのK様のために競売回避に尽力していただいた弊社関連会社、希望する収益物件を取得できた地元の買主様、そして、それらの取引にかかわることができた弊社4者が4様に利害が一致し、WIN・WINの取引となり気が付けば苦労した甲斐があった売買の一例となりました。