依頼者は、埼玉県にお住まいで元々大手企業の役員をされていたN様。
会社退職後、起業されましたが経営がうまくいかず、住宅ローンの支払いが苦しくなり、ご相談いただきました。
滞納から一定期間が経過している状態で競売を申し立てられる直前という状況でした。
相談と共に面談に行き、ご希望を詳しくお聞かせいただきました。
希望はオーナーチェンジです。数年前に奥様と一緒に、間取等を打ち合わせながら、お子様のために考え、建築してもらった愛着のある自宅であるため、住み続けたいというお気持ちでした。
また競売に着手されてしまうと家が取られてしまうというご不安も大きかったので、ご説明致しました。競売が始まってしまうと、もうどうにもならなくなってしまう、と思い、相談を躊躇われる方も多いのですが、競売が始まったとしても、【本当にどうにもならない状態】になるまでには実はまだ猶予があります。
細かい説明は割愛致しますが、競売に対する、よく分からないという漠然とした不安をお持ちだったため、ご安心していただくよう丁寧にご説明致しました。
早速、債権者と交渉を始めました。N様の場合は、住宅ローンを組んでからの経過年数が浅かったため、債権者も回収率が低く、任意売却に対してはやや消極的で完済に近い条件を当初は提示されましたが、数十回に及び電話、書類のやりとりを繰り返し、粘り強く交渉を続けました。
一方で、オーナーチェンジでの買主様を探していきました。
奥様やまだ幼いお子様もいらっしゃいますので、できるだけ内見等、刺激となる可能性を最小限にする配慮をしつつも、当社の独自のネットワークで集客を行いました。
条件に近い買主候補が2組いらっしゃいましたので、同じタイミングで奥様やお子様が不在のタイミングで内見を行いました。
ただオーナーチェンジで売却するだけでなく賃貸になった時にできるだけN様のご負担を軽減すべく買主様とも交渉し、有利な条件になるよう折衝を続けました。
結果、N様の希望する賃貸条件の範囲まで買主様の条件を調整することができ、さらに債権者も買主様の提示した買取金額で応諾いただける運びとなりました。
一方で買主様に対しても、N様のために諸条件を調整していただいたので、安価な司法書士を紹介するなど当事者皆様に最終的にはご満足いただけるよう尽力しました。
そして契約をして最終お取引日を待つ状態になっておりましたが、役所から税金の差押えが入ってしまいました。競売が始まってからある程度期間も経過していたので、迅速に役所と交渉し、解除してもらえるよう話を纏めました。
トラブルはあったものの、無事最終お取引日を迎えることができ、N様には、「何から何まで全部やっていただき(※実際にはご依頼者様にも最低限の事務手続きはございます)、本当に住み続けることができるなんて夢のようだ。資力が回復してきたらいつかは買い戻したいから、その時はまた宜しくお願い致します」とおっしゃっていただきました。