今回のご相談者は20代後半のO様。住宅ローンの返済ができなくなったとご相談を受けました。
早速、お会いさせて頂き詳しくご事情をお伺いすると、O様は物件を購入したまでは良かったのですが、当時は住宅ローンの返済以外にかかる管理費や固定資産税など固定費を想定しておらず思った以上に毎月の支出がある事が後になって分かったそうで、ギリギリの生活になってしまったとのこと。そんな状況でコロナの感染拡大によって仕事が制限されたため、収入は減少。結果、ローンの支払いが困難になってしまったそうです。
O様は勤務先が代わり今の物件から通勤するのが大変になったのでこれを機会に売却をして勤務先の近くに引越をしたいと売却プランとしてご依頼をしていただくことになりました。
O様の物件は昭和中期に建てられた大規模マンションの一室。というより一般的に団地と言われる物件でした。O様が購入するまでに複数名の方がお住まいになっており、その都度、リフォームをした形跡はありましたが、O様が購入した際は、リフォームするだけの費用がなく、生活できない状態ではなかったため、ハウスクリーニングだけ済ませそのままご使用されていました。小さいお子さんもいらっしゃるためか私が室内を見させて頂いた時には室内はボロボロの状態でした。それに団地特有の結露も酷く寝室にはカビが発生しているような物件でした。
調査が諸々終わり早速債権者との交渉にあたります。債権者も物件の性質(団地)などは理解しておりましたので査定書や物件状況の報告書など所定の書類を提出し、販売価格の相談をしたところ一定の理解は示して頂きましたが相場より割高の金額から販売を開始するよう指示されます。
なかなか厳しいとは思いながらも私たちも安く売りたいわけではありませんので少し割高な金額でもお客様を見つけるべく営業活動に精を出します。営業活動をしていく中で2~3件ほど興味を持って頂いたお客様が現れましたが室内の状況を事前に質問され、それに回答をすると想像したものと違ったのか内見まで繋がりません。中には販売価格をみて他より割高なので状態がいい物件かと勘違いされる方もいらっしゃいました。ある程度の期間販売をしたところで債権者に状況を説明し販売価格の適正化を求め交渉にあたります。販売活動した結果を見てようやく踏ん切りがついたのか相場価格に近い金額での販売を許可頂くことができました。そこから再度、チラシの配布など販売活動をやり直し近隣地域の仲介業者様にもお声かけしお客様を募りました。そのかいもあり複数名のかたからお問い合わせを頂くことができ、内見のご案内をすることができました。あとは気に入って頂けるかどうか、という事ですが結果はなんと全滅。理由はボロボロの室内の状態から綺麗にリフォームをするにはどうしても費用が多くかかってしまう事と団地特有の水をかけたかのような結露を見て、どのお客様も前向きに検討して頂けませんでした。頭を悩ませる結果となりましたがそこで落胆している場合ではありません。今はまだ債権者との交渉により任意売却期間として販売を待って頂けている状況ですが、このまま売却が決まらなければ強制競売となってしまいます。そうなってしまってはO様に多大な損害が降りかかってしまいます。どうにか購入して頂ける方がいないかと考え活動していた矢先、1本の電話がなります。それは買取業者からの電話でした。その買取業者は現在販売している金額で購入したいとのこと。弊社も様々な営業活動を行っておりますので当然、数多くの買取業者にお声かけしてきました。しかし、どこの買取業者もコロナ禍という事もあり、いつもより元気はなく条件にあう買取業者は見つけられないでいました。
今回お声をかけてきて頂いた買取業者は同じ団地内をいくつも買取・再販をしていた業者で普段は今回のような金額では物件を購入(仕入)はしないのですが、丁度在庫(商品)がなくなってしまったので仕事を得るために思い切って購入をするという理由のもと連絡をしたそうです。しかし、O様にとっては願ったりかなったりの事ですので、すぐに条件のすり合わせを行い契約の締結を行いました。債権者も価格帯からしてまさか買取業者との取引になるとは思ってはいなかったようでビックリされておりましたが指示した金額での取引ですので快く取引の承諾をして頂きました。
契約後、O様のお引越しをしなければいけませんので、新居の探索、引越手配や作業のお手伝いも弊社でサポートされて頂き問題なく引越し、物件の明渡、売買決済を終えることができました。
取引後、最後にO様とお話をしたところ「自分の甘い考えでこんな事態になってしまい、家族に迷惑をかけてしまった。これからは生活を改めます。」と新たな決意と共にお別れをしました