今回の案件は競売事件だったのですが、ヌ事件といっていわゆる無担保債権者による競売申立で、今回はその中でも最も難しいといわれる親族間での申立でした。

なぜ難しいかというと単なる金銭的な債務とは違い、親族間の長年にわたる確執が根底にあるので金額では解決出来ない事が理由に挙げられます。今回もその典型的な例で、まず本物件の所有者は元々その物件に住んでいた女性だったのですが、その方が重い病にかかりその実の弟さんが数年間付きっ切りで看病していたのですが、懇親的な看護もむなしくその女性が亡くなった後相続したのが、その実弟さんとその女性の孫にあたる二人の兄弟でした。相続人であるこの実弟さんと元所有者の女性の孫二名が数十年に渡りとにかく疎遠の中で、本物件を売却したい孫2名と物件を守りたい実弟の間で話し合いがまとまらず、ついに孫二名が代理人弁護士を立てて裁判しても平行線で、最後は競売申立して落札に委ねるという結果になってしまった矢先に弊社の訪問カウンセラーが実の弟さんに接触することが出来ました。

何度も弟さんの言い分をお聞きした上で、お気持ちは十分察する事が出来たのですが、このまま競売で処理されれば任意売却よりも相当低い金額で落札されてしまい相続する金額も減ってしまうという当たり前のお話の他に、長年の確執を少しでも緩和できるよう相続人の間に入って今回の弊社への依頼人の要望にお応えできるよう全力を注ぐお約束をしました。

ただ、やはりそう簡単にいく訳はなく、孫二名側に付いていた弁護士がまた厄介で、実弟さんから弊社が媒介を結び、どうにか孫二名からも媒介を取得しようとその代理人弁護士に接触を試みたのですが、話は聞いてはくれるもののまずは買付の金額次第との事で中々進展がありませんでした。販売活動でも弊社の長年かけて築いたネットワークによりどうにか買主を見つけ、弁護士から求められていた土地を含めた瑕疵担保免責・残置物を含めた現況渡し・確定測量等も買主負担という売主様にとってこの上ない条件の買主を獲得したのですが、それでも弁護士の方からはGOサインを頂けず、結果的にはなんと弁護士側には裏にお抱えの不動産屋が既にいてその業者がつけた買主で話を進めようとしていました。

しかもその買主というのが弊社で獲得した買主の条件よりも悪く、それからはその代理人弁護士に対し何度も依頼人の利益を優先しないのかと問い詰めたのですが、孫二名の方も弁護士が応諾しない限り条件の悪い方向で進めると言う始末で全く平行線でした。ただ、このような弁護士への不信感が募る状況でも簡単に諦める弊社ではありません。依頼人の利益にも直結する内容なので、今回は弁護士お抱えの仲介会社とも接触し何とか話を進められるよう交渉を何度も重ねた結果、売主側3名の仲介についてはその弁護士側仲介に譲り、弊社はあくまでも買主側仲介という立場に徹する事により、最終的には入札日直前に任意売却がまとまりました。

実はここには記しきれない他にも様々な予期せぬ出来事や大変なエピソードがあったのですが、ここでは割愛させて頂きます。とにかく最終的には弊社の元々の依頼人からも感謝され、弁護士側に付いていた孫2名から結果的に条件の良い買主で進められたことによって喜んで頂いたはずですが、やはり長年の確執がある中、申立側のお孫さんとしては申立てられている側が選んだ仲介会社で進めるという事に抵抗があったようです。結局細心の注意を払いながら進めたはずが、最終的には売主側の仲介から外れるという結果になってしまったのですが、私も不動産知識とはあまり関係ないのですが、何度もの親族間の調整など非常に良い経験をさせて頂きました。