今回のご相談者は60歳代のK様。差し迫った状況という事でのご相談ではなく将来を見据えたお問い合わせでした。K様は住宅・都市整備公団が建てた大規模団地の5階建の最上階・4LDKの部屋を所有し生活しておりました。物件は最寄駅から徒歩8分ほどの距離にあり、築31年経過しているマンションでした。K様はご子息が4人いらっしゃいましたが全員独立しており現在はお一人での生活。数年前にフルリフォームを施し近年流行の民泊を始めて、現に3部屋を貸し出している状況でした。K様のご相談としては、今は何とか勤め先の収入と民泊の収入で住宅ローンとリフォームローン、他借入の分を返済できているが、民泊のお客様は急に出ていく事があり収入は安定しない。民泊新法が施工され民泊客の募集がし辛くなり、それに輪をかけて団地の管理会社からも民泊の規制を協議している等、取り巻く環境が厳しくなっている。とこのままでは民泊の運営もままならなくなり、民泊が出来なくなればローンの返済が滞るというご相談でした。K様はすぐに対策を講じたいという訳ではなく、今後の取り巻く環境次第で物件を手放すかどうするのか決めていきたいとの事でした。弊社はこの先に情勢がどうなるか分かりませんが、万が一の時に備え相場より高値のK様が納得する価格で販売をして、おいてお客様が現れたら、その時に判断をしてみてはいかがですかとご提案を致しました。K様は今後の不安もあるので是非お願いしますと通常の販売をしていくことになりました。
K様のご意向に沿い相場の価格帯をはるかに上回る価格での販売をスタートすることになった訳ですが、フルリフォームをしていて設備も室内も非常に良い物件ではありましたが築31年経過している団地の外観と5階建の最上階でエレベーターがないという致命的なマイナスポイントもあり、販売価格は実際の相場から500~600万円も高い価格でした。ご希望の金額では非常に厳しいというのが正直な感想でしたが室内は想像以上に綺麗で設備も良い為、すぐに居住できる物件として内見さえして頂ければ購入して頂けるお客様はいるのではないかという思いもありました。しかし大々的に販売活動が出来ない為、歯がゆい販売期間を過ごすことになります。実際に販売を開始してから半年以上ほとんど問い合わせはなく片手で数えられる程度の反響で内見希望もありません。本来であれば価格の引き下げや買主様をつける為に様々な策を講じるのですがK様のご意向がありますので歯がゆいままの販売活動は続きます。そんな状態が計8か月ほど過ぎた頃、K様との定期連絡の際にK様からいよいよ民泊の運営が厳しくなった、民泊客を募集する事も厳しくなり現に利用客もいなくなってしまったと本格的に販売を希望される連絡でした。本格的に販売活動をする許可を頂きましたので、販売価格の件もありましたが据え置きでチラシの配布、新聞の折り込みチラシ、近隣仲介業者へ販社活動等精力的に販売活動をさせて頂きました。それでも反響は乏しい状態でしたがその中で1組だけ内見の希望が入りご案内をさせて頂いたところ、なんとそのお客様から満額で購入申込を頂くことができました。そのお客様はリフォーム済みで状態が良い室内で直ぐに住むことが出来るという点が決め手になったと、まさに想定していたようなお客様でした。
K様の転居先も弊社でお手伝いさせて頂き、契約と決済を無事終えることが出来ました。K様は売却したお金で住宅ローンとリフォームローンは完済、その他個人的に借り入れしていた債務も大幅に返済することができ生活にかなりの余裕ができたと、ご趣味である旅行の計画を早速たてられていました。
今回のK様のように理想通りの展開を実現できた事は任意売却業者以前に仲介業者として忘れられない取引になりました。