今回のご依頼主は北九州市のN様。N様は営んでいる貿易関係の事業の経営が悪化した為、住宅ローンの支払いが困難になり滞納が始まりました。N様は莫大な法人債務があるため破産を考えていましたが、任意売却によって住み続けたいとのご希望でした。N様は長年暮らしていたご自宅に大変愛着を持っており、「住み続けたい」気持ちが強いお客様でした。弊社は売却後も賃貸として住み続けられるオーナーチェンジプランをご提案させて頂き、任意売却を進めていくことになりました。
物件は最寄駅から数キロ離れた場所にある4LDK、築25年経過している物件で、室内は生活による経年劣化はあるものの比較的綺麗に保たれていましたが、輸入住宅で海外の資材を使用しており、直接的な原因かは定かではありませんが、外壁に亀裂が入りやすく修繕しても数年で再発してしまい亀裂から雨水が宅内に浸水してしまっていました。物件の担保評価と月々の家賃、債権者の応諾価格を総合的に判断すると、北九州市という地方という事もあり、オーナーチェンジで最重要視される「利回り」が理想とされる%を大きく下回ってしまい非常に難しい事が分かりました。その旨をN様にご報告すると「息子が戻ってくるので家を残したかった。」とお気持ちをもらしました。そこで弊社は息子さんに住宅ローンを組んでもらい買戻しをしてもらってはどうかと代替案をご提案させて頂きました。息子さんの買戻しであれば名義が第三者になる事もありません。息子さんからの協力の了解も得られ買戻しに切り替えで進めて行きます。
本物件には抵当権とは別に事業用資金として借入をした無担保債権者から差押えがされておりました。それに加え、その無担保債権者より競売の申立がなされ時間に制約がつけられてしまいました。この時点では息子さんの買戻しの準備をしている段階でしたので、競売になる前に各債権者との交渉と息子の買戻しをまとめなければなりません。その後の交渉により抵当権者の応諾額はすぐにまとめる事ができましたが、差押権者である無担保債権者が本来回収できる金額を大幅に上回る金額を回収できなければ任意売却に応じないと強気な態度を示してきました。弊社の調査や裁判所の物件評価から仮に競売で落札されたとしても無担保債権者には配当ない事が分かっていましたので、査定書や上申書を提出し交渉を重ねました結果、最終的に任意売却の応諾を頂くことができました。
並行して進めていた、息子さんへの買戻しも弊社で住宅ローンの手続きをし、息子さんの年収額が審査基準にギリギリの額という事と物件担保評価の面で融資の否決を数社から頂くことにはなりましたが、どうにか融資を受けられる金融機関を見つける事ができました、当初、N様が希望していた「競売回避」「住み続ける」「買戻し」全ての希望を叶える形で無事決済を終えることができました。