物件は築２８年目のマンション６階部分で、最寄駅からは徒歩２０分以上、オートロックも無くエレベーターもスキップ階で止まらない階に位置し、さらに室内も水回りを含め全て劣悪な状態だったので、当然フルリフォームが必要な物件でした。

依頼者である７０代半ばの男性は築１５年目に本物件を購入し元々、奥様を含めご家族で暮らしていましたが、定年後の離婚を機に一人暮らしが始まり、タクシー運転手を１０年ほど続けていましたが、追い打ちをかけるように重度の病気を患ってしまい、残り６年ほどの住宅ローンの滞納が始まり競売の申し立てを受けた直後に弊社の訪問スタッフにより任意売却の依頼を結ばせて頂きました。

依頼者はご高齢でしかもご病気から、生きる望みを失っていて何事にも悲観的で半ば自暴自棄な精神状態でした。とにかく苦労したのは、日によって依頼者の精神状態の波が大きく、急にご連絡が取れなくなってしまったり内見ご案内のお約束をしてもお会い出来なかったりと販売活動が思うように進まなかったことです。

このような状態を打破するために、まず依頼者の本心を引き出すために悩みや愚痴をお聞きし、例えば離婚以来音信不通だった息子さんの連絡先を突き止め関係性を多少なりとも修復させたり、生活保護の申請もお勧めし今後のご不安を解消させたりと、様々な働きかけにより徐々に依頼者との距離が縮まっていき、当然並行して行った債権者交渉や弊社の幅広いネットワークを駆使した販売活動により、無事に任意売却が成立しました。

一日がかりの引越作業・産廃作業や引越先の探索ご案内などもお手伝いさせて頂き、さらに今回の売却で捻出できた引越費用により新居での家具一式のお買物もご一緒させて頂いたりと、最後に依頼者から

「最初は半信半疑で何度も迷惑を掛けたと思うが、本当にここまで不動産屋が何から何までしてくれるとは思わなかった。こんな出会いがあるとは俺の人生も捨てたものじゃないな。」

と両手で握手頂いたときは、本当に私もこの業務のやりがいを実感出来ました。