個人再生(民事再生)と住宅ローン

個人再生(民事再生とも言います)とは、住宅ローン以外の借金の返済が難しい場合に、借金の一部を支払う事で残りの借金を免除してもらう手続きのことを言います。
自己破産のように借金の返済義務はなくなりませんが、住宅資金特別条項という制度を利用すれば、マイホームを手放さなくて良いというのが大きな特徴です。
借金が多くて全額を返済するのは難しいがマイホームは処分されたくない、といった方に有効な手続きです。

ちなみに借金の減額率は以下の通りです。
100 万円〜500 万円 → 最大100 万円までの減額
500 万円〜1500 万円 → 最大1/5 までの減額
1500 万円〜3000 万円 → 最大300 万円までの減額
3000 万円〜5000 万円 → 最大1/10 までの減額
※住宅ローン以外の借金が5000 万円以下の方、安定した収入のある方、などといった条件があります。

原則として住宅ローンは一切減額されないのですが、「住宅ローン特例」という制度があり、その返済方法を見直してもらえる場合もあります。
例えばローンの残金の一括請求を待ってもらったり、完済までの期限を延ばして毎月の支払金額を少なくしてもらったりする、といった内容です。

いかがですか?
民事再生なら借金は減額してもらえるし、自宅は手放さなくて良いし、借金の整理方法としては最善の方法に見えますか?

しかし、ここで良く考えてみて欲しいのです。

住宅ローン以外の借金が減額されたとはいえ、住宅ローンはこれまで通り返済していかなくてはなりません。
さらにその他の借金についても減 額された額を払っていかなくてはいけません。
また弁護士費用や裁判所 への予納金(民事再生は裁判所を通して行われるため個人再生委員への報酬=予納金が発生します)も支払わなければなりません。

改めて考えてみると、借金の返済が厳しいから民事再生で返済額を減らしてもらいましたが、この先、借金の返済が厳しいという事実が変わる保証はどこにもありません。

さらに、民事再生を行ったけどやっぱり支払いが厳しくなってきた…となってしまった場合、あとは自己破産しかないのです。
自己破産ですからもちろんマイホームは手放す事になりますが、ご自身の意思で売却できない上に(いくらで売れようがあなたには決定権がないので決定事項を受け入れるしかありません)、民事再生後に支払った債務も無駄になってしまうのです。

この「やっぱり返済が厳しくなってしまった」となって任意売却の相談 に来られる方が、最近とても多いのです。

民事再生に支払うお金

ローンの残っているマイホームは、資産ではなく負債です。

このことを念頭において、借金の返済が難しいと感じた場合、まずは住宅ローンの見直し=任意売却を検討してみるのもひとつの手です。
少なくとも民事再生後に「やっぱり返済が厳しくなってしまった」という状況=競売よりは、圧倒的に有利な条件での売却(もちろん住み続けることができる場合もあります)を行えます。